体外受精

2024.05.14

OHSSと新鮮胚移植を考慮した回収卵子数(Fertil Steril. 2014)

はじめに 

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は予防・管理の両側面から捉えないといけません。全胚凍結メインとなった体外受精環境では以前に比べてOHSS発症リスクは減っているとは思いますが、回収卵子数の目安として引用されることが多くありますので、頻用される報告をご紹介いたします。 

ポイント

15個を超える回収卵子数は、新鮮胚移植成績を上昇させることなく、OHSSリスクを増加させる。 

引用文献

Ryan G Steward, et al. Fertil Steril. 2014 Apr;101(4):967-73. doi: 10.1016/j.fertnstert.2013.12.026. 

論文紹介

新鮮胚移植時の回収卵子数とOHSS発症率および出生率との関連を調査したレトロスペクティブコホート研究です。2008年から2010年のSART登録を用いて256381周期のデータを解析しました。 

結果 

出生率は回収卵子数15個まで増加し、その後プラトーとなりました(0~5個:17%、6~10個:31.7%、11~15個:39.3%、16~20個:42.7%、21~25個:43.8%、>25個:41.8%)。しかし、OHSS発生率は回収卵子15個を超えると有意に上昇しました(0〜5個:0.09%、6〜10個:0.37%、11〜15個:0.93%、16〜20個:1.67%、21〜25個:3.03%、>25個:6.34%)。これらの傾向は、GEEを用いて調整した後も変わりませんでした。
OHSSのカットオフは回収卵子数15個で、感度と特異度はそれぞれ71.1%と72.4%であり、AUCは0.784でした。出生についても同様の曲線が得られましたが、AUCは0.596でした。回収卵子数は出生予測には有用ではありませんが、回収卵子15個がOHSSリスクを最もよく予測する数であることが明らかとなりました。 

私見

婦人科ガイドライン2023のOHSS記載は以下のとおりです。
「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症・重症化予防と管理は?」 

Answer 
予防:一般不妊治療・ART共通

1. OHSSリスクの高い患者に対するゴナドトロピン製剤使用時には,低用量から開始する.(B) 
2. 卵巣刺激中にOHSSのリスクが高いと判断したら,hCG投与を中止する.(B) 

予防:ART
3. ART施行前・施行中にOHSSのリスクが高いと判断したら,以下のいずれかまたは複数の対策を施行する.

  1. GnRHアンタゴニスト法または低卵巣刺激法を用いる.(B) 
  2. hCGの替わりにGnRHアゴニストを用いる.(B) 
  3. hCG投与を減量または延期(coasting法)する.(B) 
  4. 全胚凍結する.(B) 
  5. 黄体ホルモン製剤単独による黄体補充療法を行う.(A) 

4. 採卵後の重症化予防のため以下の薬物療法を追加する. 

  1. カベルゴリン(B) 
  2. レトロゾール(C)
  3. GnRHアンタゴニスト製剤(C) 

管理
5. 軽症患者には水分を十分に摂取させ,激しい運動を控えさせる.(C)
6. 中等症以上の患者,ならびに妊娠例は高次医療機関での管理を勧める.(B)
7. 重症患者では原則的に入院管理を勧める.(B) 

<関連コラム> 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# OHSS

# 卵巣刺激

# 新鮮胚移植

# 総説、RCT、メタアナリシス

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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