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体外受精 2025年1月〜12月
卵巣刺激~採卵~培養
AMHと回収卵子数の関係
体外受精にステップアップされた際には、卵巣予備能の指標である抗ミュラー管ホルモン(AMH)値や胞状卵胞数(AFC)が重要な指標になります。AMHやAFCをベースに女性年齢などの患者背景と総合して卵巣刺激法を判断します。
下記にAMH値による当院の卵巣刺激法の採卵による平均回収卵子数を示します。
卵巣刺激法
当院では、AMH値、AFC、患者年齢、精液所見などを指標に卵巣刺激法を決定します。
AMHやAFCの値から、患者層は卵巣刺激への低反応患者(Poor Responder)、標準反応患者(Normal Responder)、高反応患者(High Responder)の3群に分けられます。当院では下記基準で分類を行なっております。
- Poor Responder:AMH < 1.2 ng/mL または AFC < 5個
- Normal Responder:AMH = 1.2~4.3 ng/mL または AFC = 5~20個
- High Responder:AMH > 4.3 ng/mL または AFC > 20個
平均回収卵子数~平均有効胚数(Responder分類別)
当院の個別化調節卵巣刺激法により、卵巣予備能別に1回の採卵で得られる平均回収卵子数、成熟卵子数、正常受精胚数、有効胚数を示します。胚移植可能な胚盤胞に成長する受精胚は回収卵子数の3分の1程度(40歳以上では4分の1程度)です。
平均採卵数~平均有効胚数(年齢別)
当院の個別化調節卵巣刺激法により、女性患者年齢別に1回の採卵で得られる平均回収卵子数、成熟卵子数、正常受精胚数、有効胚数を示します。
胚移植可能と判断する受精胚は
- 34歳以下で 3.6個
- 35~39歳で 2.3個
- 40~42歳で 1.0個
- 43~45歳で 0.5個
女性年齢が上がると卵巣予備能が低下し、平均回収卵数から平均有効胚数までの数は減少します。しかし各年齢による卵巣予備能のばらつきも大きく、成績を左右します。
受精方法
当院の受精方法の割合を下記に示します。2025年は顕微授精(ICSI)が約45%、体外受精(IVF)が約34%、スプリットが約21%でした。複数個採取できた成熟卵子をIVF用とICSI用に振り分けて受精を行うことをスプリット(Split)と言います。
当院では、体外受精(IVF)を標準的な受精方法として適用しておりますが、総運動精子数が著しく少ない場合、原因不明の受精障害や胚発生不良が予想される場合などは顕微授精(ICSI)の対象となります。
培養成績
顕微授精(ICSI)は精子を直接卵子に注入するため、正常受精率は体外受精(IVF)よりも 15〜20%ほど高い傾向があります。その後の胚発生に関してはほぼ同等です。
妊娠率について
妊娠率(胚移植あたり)
臨床的妊娠とは、超音波検査で胎囊(赤ちゃんが入っている袋)が確認できた状態であり、尿中や血中でのhCG陽性で胎囊が超音波で確認できない生化学流産(化学流産)は含みません。
生化学妊娠陽性率の方が臨床的妊娠率より5~15%ほど高くなるため、臨床的妊娠率と生化学妊娠陽性率を区別して理解することは重要です。
国内では、臨床的妊娠率を「妊娠率」として定義することが一般的であり、下記は当院の臨床的妊娠の実績になります。
臨床的妊娠率は、
臨床的妊娠率=臨床的妊娠数 ÷ 胚移植数 × 100%
として計算されます。
流産率(臨床妊娠あたり)
流産率は、臨床的妊娠後に22週未満で流産に至ってしまった割合を言います。
流産率=流産数 ÷ 臨床的妊娠数 × 100%
として計算されます。
臨床的妊娠数から流産数を除いた数は継続妊娠数となり、ほぼ全数が分娩に至ります。
妊娠ステージ別の妊娠率
妊娠率(胚移植あたり)で生化学妊娠陽性率と臨床的妊娠率の違いを述べましたが、生化学妊娠の情報も非常に重要です。胚が着床した形跡が全く見られないのか、もしくは少なからず着床したシグナルを得られたのか、その結果も今後の治療方針の判断基準になります。
- 生化学妊娠:hCG値が5 mIU/mL以上
- 臨床的妊娠:妊娠5~6週に超音波検査で胎囊を確認
- 継続妊娠:胎児心拍確認および流産せずに10週以降まで継続
胚移植方法別・移植胚別の妊娠率
胚移植方法
移植方法には、胚移植あたりひとつの胚を移植する単一胚移植と、同時に二個の胚を移植する二個胚移植と、2~3日の間隔をあけて初期胚と胚盤胞を二段階で移植する二段階移植法があります。
当院では単一胚移植が標準であり、2025年は80%以上が単一胚移植でした。
胚移植周期
胚移植には、採卵日から3~6日後の採卵と同じ周期に胚移植を行う新鮮胚移植と、一旦凍結してから次周期以降に融解して胚移植を行う凍結融解胚移植があります。
融解胚移植周期は、ホルモン剤を補充して移植日を調整するホルモン調整周期と、超音波や検体検査で自身の排卵時期を確認しながら移植日を決定する自然排卵周期があります。
安定した妊娠成績と移植スケジュールの組みやすさから、当院ではホルモン調整周期が最も多く、2025年は55%以上がホルモン調整周期による胚移植でした。



