
スクラッチ法(先進医療:子宮内膜擦過術)
スクラッチ法は移植前周期に子宮内膜を意図的に擦過し、局所の炎症反応を通じて着床環境を改善し、着床率向上を期待する技術です。反復着床不成功例での補助治療として行われます。
スクラッチ法とは
スクラッチ法とは、胚移植を行う前周期の黄体期に、子宮内膜にあえて小さな傷をつけることで、翌周期の着床率を高める可能性のある技術です。
子宮内膜に微細な損傷を与えることで起こる炎症や局所の免疫反応が、着床に有利な環境をつくる可能性が指摘されています。ただし、この方法の有効性やメカニズムはまだ十分に解明されておらず、効果には個人差があるとされています。
対象となる方
- 良好胚を複数回移植しても着床に至らない方
- 明確な着床障害の原因が見つからない方
実施方法
胚移植を予定している前周期の黄体期(排卵後)に行います。細い器具(子宮体がん検査と同様の器具など)を子宮内に挿入し、内膜を軽く擦過します。処置時間は短時間(5分程度)で、麻酔は通常行いません。子宮がん検診よりも痛みを伴うことがありますが、多くの方が外来で対応可能です。処置周期は避妊が必要です。
費用について
通常の保険診療と併せて実施することが可能ですが、先進医療のため患者さまの全額自己負担となります。ただし、民間の医療保険(先進医療特約)や都道府県などの助成制度を利用することで負担を軽減できることがあります。
先進医療に係る費用:10,190円(患者全額自己負担)
注意事項
治療の有効性は現在も検討が進められており、誰にでも有効な治療とは考えられていません。当院では患者さまの状況に応じて個別に治療の適応を判断し、十分な説明を行った上で実施いたします。
代替法として、ERA検査(子宮内膜受容能検査)やSEET法(子宮内膜刺激法)などがあります。患者さま一人ひとりの状況に応じて、最適な治療方法をご提案いたします。