Treatments診療内容
β2GPI Neo-Self Antibody Test

β2GPIネオセルフ抗体検査(先進医療)

原因不明の不育症の新たな原因を調べる血液検査です。不育症女性の16〜18%で陽性となり、陽性の場合はアスピリンやヘパリン療法で治療します。

β2GPIネオセルフ抗体検査とは

β2GPIネオセルフ抗体検査(抗β2GPI/HLA-DR抗体検査)は、不育症の原因を調べるための血液検査で、従来の検査では原因が特定できなかった不育症患者さまに対して、原因解明と適切な治療方針の決定を行い、精神的・肉体的ストレスの軽減と、出生率の向上を図ることを目的としています。

不育症とβ2GPIネオセルフ抗体

不育症は不妊症と異なり、妊娠はできるが流産や死産を繰り返し、生児を産むことができない病気です。しかし、不育症患者さまの半数以上は原因が不明で、治療法がわからないことが多いのが現状です。
2015年抗リン脂質抗体症候群の原因となる全く新しい自己抗体である「β2GPIネオセルフ抗体(抗β2グリコプロテインI/HLA-DR抗体)」が発見されました。この抗体は、脳梗塞のような重要な臓器の血管に血栓を形成し生命を脅かす血栓症や、流産、妊娠高血圧症候群などの病気を引き起こす抗リン脂質抗体症候群の新たな原因として同定されています。
不育症女性の16〜18%でβ2GPIネオセルフ抗体が陽性であることがわかっており、不育症の原因、最近では胎児発育不全や妊娠高血圧症候群、血栓症リスクとの関連も示唆されています。

AOI Biosciences株式会社より提供

検査の対象者

  • 不育症

検査方法

検査は外来で行う血液検査です。採血した血液を専門の検査機関(AOI Biosciences株式会社)に送付し、β2GPIネオセルフ抗体の有無と抗体価を測定します。

検査手順

  1. 外来での血液採取(通常の血液検査と同様)
  2. 検体の専門検査機関への送付
  3. 標準化されたフローサイトメーター技術を用いた抗体検出・定量
  4. 検査結果の報告(約2〜3週間後)

検査結果と判定

検査結果は抗体価で報告され、73.3U以上を陽性として判定します。

治療方針

検査結果に基づき、以下の個別化治療を提案いたします。

β2GPIネオセルフ抗体陽性の場合

  • 低用量アスピリン(LDA)療法
  • ヘパリン療法(妊娠時)
  • LDA+ヘパリン併用療法
  • 病態に応じた免疫調整療法

β2GPIネオセルフ抗体陰性の場合

  • 他の不育症原因の精査継続
  • 個々の症例に応じた治療選択

費用について

通常の保険診療と併せて実施することが可能ですが、先進医療のため患者さまの全額自己負担となります。ただし、民間の医療保険(先進医療特約)や都道府県などの助成制度を利用することで負担を軽減できることがあります。

先進医療に係る費用: 30,800円(患者全額自己負担)

注意事項

治療の有効性は現在も検討が進められており、誰にでも有効な治療とは考えられていません。当院では患者さまの状況に応じて個別に検査の適応を判断し、十分な説明を行った上で実施いたします。
代替検査提案として治療法が陽性時の治療法が同じである他の抗リン脂質抗体、血栓性素因関連検査などがあります。患者さま一人ひとりの状況に応じて、最適な検査・治療プランをご提案いたします。