
タイムラプスインキュベーター
(先進医療:タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養)
タイムラプスインキュベーターは受精胚を安定環境下で連続撮影しながら培養する装置で、発育状況を詳細に評価可能です。AI評価も併用し、より良い胚の選別と着床率の向上が期待されます。
タイムラプスインキュベーターとは
タイムラプスインキュベーター(タイムラプス培養器)は従来のインキュベーターとは異なり、内蔵されたカメラで胚発育の様子を観察することができます。それにより、観察するたびにインキュベーターから取り出す必要がなくなり、温度変化や光刺激の暴露、あるいは外気の影響を受けない清浄な環境で、より子宮内に近い状態を保ちながら培養が可能となります。また、継続的に胚の画像を記録しているため、受精や胚発育の様子を振り返って評価することもできます。

対象となる方
有効性の検討は現在も続けられていますが、一般的なタイムラプスインキュベーターには明確なデメリットが報告されていないため、当院では通常、体外受精を行う方皆さまに提案しています。
実施方法
採卵後に得られた受精胚は、タイムラプスインキュベーターに設置された専用の培養皿に移され、胚盤胞までの数日間、培養を続けながら自動撮影されます。撮影された画像データは医師と胚培養士に解析されるほか、AIによる胚評価も行われ、移植または凍結する胚の選定に活用されます。患者さまに対して特別な準備や追加処置は必要ありません。

費用について
通常の保険診療と併せて実施することが可能ですが、先進医療のため患者さまの全額自己負担となります。ただし、民間の医療保険(先進医療特約)や都道府県などの助成制度を利用することで負担を軽減できることがあります。
先進医療に係る費用:27,000円(患者全額自己負担)
注意事項
治療の有効性は現在も検討が進められており、誰にでも有効な治療とは考えられていません。当院では患者さまの状況に応じて個別に検査の適応を判断し、十分な説明を行った上で実施いたします。
代替法として、従来型インキュベーターによる胚培養(定時観察法)がありますが、タイムラプス培養ではより詳細な観察と環境安定性の向上が期待できます。患者さま一人ひとりの状況に応じて、最適な検査・治療プランをご提案いたします。