Treatments診療内容
Hysteroscopic Surgery

子宮鏡下手術

日帰り子宮鏡下手術は、内視鏡を使って内膜ポリープや小さい粘膜下子宮筋腫を直接切除する手術で、妊娠率の向上が期待できます。腟からの操作のためお腹に傷がつかず、術後の痛みも軽く翌日からの仕事復帰も可能で、最新の機器により安全で効果的な治療を提供しています。

子宮鏡下手術とは

子宮鏡下手術は、子宮鏡という内視鏡を子宮の入り口から挿入し、直接病変を確認しながら子宮筋腫や子宮内膜ポリープを切除する手術です。
当院では、静脈麻酔と局所麻酔を行い日帰りでの手術を実施しています。

使用する子宮鏡機器について

当院では、単発の子宮内膜ポリープ症例に対してはKARL STORZ社のBETTOCCHI® hysteroscope、CAMPO TROPHYSCOPE®を使用しています。多発の子宮内膜ポリープ症例に対しては、HOLOGIC社のMyoSure® MANUAL・LITE・REACH ティッシュリムーバルデバイスを使用しています。

BETTOCCHI® hysteroscope、CAMPO TROPHYSCOPE®
(画像提供:カールストルツ・エンドスコピー・ジャパン株式会社)

HOLOGIC社のMyoSure® MANUAL・LITE・REACH ティッシュリムーバルデバイス
(画像提供:ホロジックジャパン株式会社)

当院で日帰り手術が可能な子宮鏡下手術の適応疾患

  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮粘膜下筋腫
  • 子宮腔内癒着
  • RPOC(妊娠成分の遺残)

病変の大きさや状態によって、当院での対応が困難と判断した場合には連携先の医療機関をご紹介いたします。

手術による妊娠率の改善効果・代替治療

子宮鏡下手術によって子宮腔内の状態が改善すれば妊娠率向上が期待されます。
ただし、手術後時間経過とともに再発する場合もありますので、術後は避妊期間があければ早期に不妊治療・妊活に移行していただくことを推奨いたします。子宮腔内病変があっても妊娠・出産に至る可能性があるため、手術を行わずに他の不妊治療を優先することもあります。ただし、子宮腔内病変の悪性の否定は必要となります。

日帰り子宮鏡下手術のメリット・デメリット

メリット

  • 腟から操作する手術のためお腹に傷がつきません。
  • 術後の痛みが軽く、出血も少ないとされています。
  • 入院不要なので経済的で、合併症がない限り翌日以降の早期仕事復帰も可能です。

デメリット

  • 病変の大きさや状態、併存疾患によっては当院での手術が困難な場合があります。
  • 非常に稀ではありますが、手術を開始した後に当院での手術継続が不可能と判断した場合には、手術途中でも中止することがあり、その場合は連携先の医療機関をご紹介いたします。
  • 稀ではありますが、手術を開始した後に合併症が生じた場合には、高次医療機関に搬送する場合があります。

子宮鏡下手術の合併症

出血

通常は出血の少ない手術です。

細菌感染

術後子宮内に感染が起きることがあります。手術時・手術後は細菌感染予防のための抗菌薬を投与します。

疼痛

術後の疼痛は軽度なことが多いですが、疼痛があれば鎮痛剤を投与します。

子宮穿孔

非常にまれですが、手術に用いた器具により子宮に穴があいてしまうことがあります。子宮穿孔により多量出血や他臓器損傷が起きる可能性があります。高次医療機関に搬送し修復術が必要となる可能性があります。

水中毒

灌流液により血液が希釈され、頭痛・嘔吐・痙攣・意識低下などの症状を起こすことがあります。当院では灌流液に電解質溶液を使用していますので、水中毒のリスクは比較的低いです。

これらの合併症が起こる頻度は極めて低く、また起こった場合も経過観察となる場合がほとんどです。

手術までの流れ

手術の日程を決定いたします。
月経終了直後から排卵日までが手術に適した時期になりますが、手術日がこの時期に該当しない場合は、子宮内膜の状態を調整する内服薬を使用することがあります。月経様の出血があっても妊娠していることがあるため、妊娠していないことの確認が必要です。手術までは避妊していただきます。
手術前に血液検査・心電図・胸部レントゲン検査を実施します。
手術前に医師より手術の説明を行います。

手術当日の流れ

  1. 手術開始1〜2時間前に来院していただきます。
  2. 経腟超音波検査で子宮の状態を確認します。子宮頸管(子宮の出口)を広げる処置が必要と判断した場合には、ディスポーザブル子宮頸管拡張器(ラミケンアール®)を子宮頸管に挿入します。
  3. 着替え、点滴などの準備を行います。
  4. 手術室に移動し、麻酔(静脈麻酔・局所麻酔)を実施します。
  5. 手術時間は15~20分前後です。
  6. 手術後は1~2時間ほど休憩していただきます。
  7. 目が覚め、ご自身で移動が可能になりましたら、術後診察(経腟超音波検査)を行います。
  8. 医師より手術の説明を行います。

手術後の診察

手術後2週間後に術後診察を実施します。
経腟超音波検査で子宮の状態を確認します。
手術で摘出した病変の病理組織診断の結果を医師より説明いたします。

注意事項

帰宅時、麻酔が覚めきらないときがあるため、ご自身で運転をしての来院は避けてください。当院では手術方法・時期に関しては年齢や不妊リスクにより症例別に説明させていただき、患者さま一人ひとりの状況に応じて、最適な検査・治療プランをご提案いたします。