
子宮鏡下卵管通色素検査
子宮鏡下卵管通色素検査は、子宮鏡を使用して卵管の通過性を直接確認する卵管疎通性検査です。造影剤アレルギーの方にも適応できます。
検査の内容・目的
子宮鏡下卵管通色素検査は、子宮鏡を使用して卵管の通過性の評価を行う卵管疎通性検査です。子宮鏡を見ながら、細い通水用カテーテルを卵管の入り口に挿入し、青色の水(色素液)を注入して卵管の通り具合(通過性)を判定します。
この検査は子宮卵管造影検査(HSG)、子宮卵管超音波造影検査(HyCoSy:Hysterosalpingo-Contrast Sonography)に代わる検査法として、直視下で子宮内腔の状態を確認しながら卵管の疎通性を評価することができます。検査時間は20分~30分ほどです。
検査適応
下記に該当する患者さまが検査対象となります。
- 他の卵管疎通性検査を行った結果、卵管の狭窄・閉塞が疑われた方
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子宮卵管造影をできない方の卵管評価目的
- ヨードアレルギー、あるいはその疑いがある方
- 重篤な甲状腺疾患の方
- メトホルミン(グリコラン、メルビン)を内服している方 →当院では子宮鏡下通水検査をおすすめしております
検査を行う時期について
通常月経が終わってから排卵日までに行います。検査までは避妊しておく必要があります。
検査による評価
本検査では以下の評価を行います。
- 卵管通過性あり
- 卵管通過性なし(逆流を認める)
合併症・副作用
性器出血、疼痛、感染などの合併症があります。ここに書かれている合併症は起こる頻度は低く、また起こった場合も無治療で軽快することがほとんどです。
子宮穿孔
柔らかい素材のため、通常の観察で子宮を損傷することはありません。
水中毒
子宮内を環流する液体が卵管を通って腹腔内にとどまり、吸収されて血液が希釈され、電解質のバランスが崩れることです。30分ほどの検査で起こることは通常はありません。
麻酔による副作用
使用する麻酔薬による副作用があります。
実際の検査
- 仰向けに寝た状態で検査を行います。必要な患者さまには静脈麻酔をかけます。
- 柔らかい子宮鏡(軟性鏡)を使用し、子宮内に滅菌した水を流しながら検査を開始します。この際、子宮の内圧が上がり、下腹部の違和感や痛みを感じることがあります。検査を続けることが難しい場合は、子宮内の水の量を調節するなどして対応いたします。
- 子宮内腔を観察します。画面上がお腹側、画面下が背中側になります。画面奥の方の二ヶ所のくぼんでいる部分が卵管口のあたりです。
- 卵管入り口(卵管口)を観察します。卵管入り口(卵管口)を観察し、卵管内に細いチューブを入れ、青い色の水(色素液)を流します。卵管の通りが問題なければ、卵管の出口から水は流れ、子宮内の水の色は変化しません。
卵管の通りが悪い場合(狭い場所や閉塞している場所がある場合)は、卵管の出口から水がなかなか通らず、子宮内に青色の水が戻ってきます。また卵管入り口が閉塞している場合は、卵管内に細いチューブが入りません。これを左右両方行い、卵管の通り(通過性)を確認します。
ここまで行い検査は終了です。
麻酔
患者さまに応じて対応いたします。鎮痛剤と麻酔薬を用いて検査を行う場合、静脈麻酔(プロポフォール)、鎮痛剤(ボルタレン坐薬、アセリオ、ロピオン)が使用する薬剤となります。
検査で異常があった場合
卵管の狭窄、閉塞病変が確認された場合
子宮に近い部位の病変では卵管鏡下卵管形成術(FT)、遠位部の病変では腹腔鏡下卵管形成術を検討します。 しかし、物理的な狭窄は解除できても機能まで戻す事はできませんので、年齢や他の原因などを総合的に判断し体外受精による治療に進むことがあります。
子宮鏡検査にて子宮腔内病変が見つかってきた場合
費用
本検査は自費検査となります。詳細な費用については受付でお尋ねください。
注意事項
代替検査提案として子宮卵管造影検査、子宮卵管超音波造影検査(HyCoSy)などがあります。患者さま一人ひとりの状況に応じて、最適な検査・治療プランをご提案いたします。