Treatments診療内容
Pregnancy Progress and Management

妊娠中の経過と管理について

妊娠は、母体および胎児の双方にとって大きな生理的変化を伴う過程であり、適切な管理と定期的な評価が重要です。

分娩予定日の算出

分娩予定日は、受精日を妊娠2週0日とし、そこから数えて妊娠40週0日目に該当する日を指します。不妊治療による妊娠では、以下のように妊娠2週0日が定義されます。

  • タイミング法・人工授精の場合:排卵日
  • 新鮮胚移植の場合:採卵日
  • 凍結融解胚移植(胚盤胞)の場合:胚移植日の5日前

妊娠の経過

妊娠4週

尿妊娠検査薬で陽性反応が見られ始める時期です。体外受精では、妊娠4週0日頃に血中hCG値を測定して妊娠判定を行います。

妊娠5週

超音波検査で子宮内に胎囊(たいのう:赤ちゃんの入った袋)が確認できる時期です。確認できない場合は、異所性妊娠(卵管妊娠など)の可能性も考慮します。また、排卵誘発や胚移植を行っている場合は、多胎妊娠や正所異所同時妊娠の可能性も念頭に置きます。

妊娠6〜7週

胎芽の心拍確認が始まる時期で、つわりなどの妊娠初期症状が出現しやすくなります。

妊娠8〜9週

胎芽は「胎児」と呼ばれる段階に入り、子宮は妊娠前の約2倍の大きさになります。

妊娠10〜11週

妊婦健診が分娩施設にて開始されます。この頃までに母子健康手帳の取得が必要です(取得方法は各市区町村のホームページをご参照ください)。
また、NIPTや超音波検査などの出生前検査の実施可能時期に入ります。出生前検査はすべての先天異常を検出できるわけではなく、胎内、出生時、あるいは出生後に初めて明らかになる疾患もあります。

妊娠12〜23週

流産の可能性が低下し、4週間ごとの妊婦健診を行います。胎盤の位置異常や早産リスクなどについて、超音波検査で確認します。徐々にお腹の膨らみが目立ち始め、妊娠20週頃には子宮底が臍の高さに達します。

妊娠24〜35週

妊婦健診は2週間に1回となり、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群など、母体合併症のスクリーニングも行われます。

妊娠36〜40週

1週間ごとの妊婦健診に移行します。妊娠37週からは「正期産」に入り、分娩に備えた管理が本格化します。

妊娠41週以降

分娩予定日(妊娠40週0日)を過ぎても自然分娩に至らない場合、週2回程度の健診でノンストレステスト(NST)を実施し、胎児の健康状態を評価します。状況に応じて、分娩誘発の適応が検討されます。

個別管理の重要性

妊娠の経過には個人差が大きく、年齢、既往歴、婦人科手術既往、過去の妊娠・出産歴、妊娠の成立方法(自然妊娠/ART)などによって適切な管理方針は異なります。患者さま一人ひとりの状況に応じた周産期管理を受けていただけるよう、必要に応じて産科・内科・小児科等の各専門医と連携したサポート体制を整えております。