培養

2023.04.22

動画で見る先進医療技術(PICSI)(動画)

2022年4月より不妊治療が保険適応となって1年が経過しました。保険適応の中の先進医療技術の中で培養士が直接関わっている技術を動画で紹介致します。 

今回紹介するのは先進医療技術Aと告示された技術の一つである「ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(いわゆる、PICSI法)」(厚生労働省のホームページの原文のまま)です。 

この技術は簡単に言うと、顕微授精で卵子の中に入れる精子を選ぶ際、精子の生理学的な性質を利用して良い精子を選ぶ技術になります。精子には未熟(男性に例えると子供)、成熟(男性に例えると大人)があると言われています。未熟な精子を卵子と受精させると受精卵の発育に悪影響を与えることが報告されています。 

成熟した精子の頭部にはヒアルロン酸と結合する受容体(レセプターと呼びます)が発現しますが、未熟な精子には、このレセプターがありません。 

精子をヒアルロン酸が高濃度に含まれている中で泳がせると、 

ヒアルロン酸が成熟精子の頭に発現しているレセプターに結合してゆきます。一方、未熟な精子はレセプターがないため、ヒアルロン酸は結合しません。 

その結果、未熟(子供)な精子の頭は軽いまま、一報、成熟(大人)な精子の頭は結合したヒアルロン酸により重くなります。 

その結果、未熟(子供)精子の動きは変わりませんが、成熟(大人)精子の動きは頭が重くなることで前に進めなくなります。 

今回の動画は全部で50秒です。再生直後、ヒアルロン酸がない場所で動いている精子を選んで(0-15秒)、その精子をヒアルロン酸がある場所へ移動します(15-20秒)。ヒアルロン酸がない場所では前進していた精子が、ヒアルロン酸がある場所に出された直後(23-25秒)から、みるみる動きが鈍くなり精子は動いているにも関わらず、前進できない状態になっている(26-50秒)のがお分かり頂けると思います。 


これからもアニメーション・動画で培養に関する技術を紹介させて頂ければと思います。 

文責:平岡謙一郎(亀田IVFクリニック幕張 培養管理室長/生殖補助医療管理胚培養士)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 顕微授精(ICSI)

亀田IVFクリニック幕張 生殖医療事業管理部 培養管理室長

平岡 謙一郎

亀田IVFクリニック幕張 培養管理室長/生殖補助医療管理胚培養士。広島県立大学大学院修了(博士)。体外受精の中心となる受精・培養・凍結について専門知見に基づき紹介している。

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