治療予後・その他

2024.03.27

双胎妊娠の周産期リスク(JAMA Netw Open. 2021) 

はじめに

体外受精治療の保険診療化により移植回数の制限がつき、複数胚移植を希望される患者様が増えている印象を受けます。複数胚移植の結果、双胎妊娠率が高くなり、周産期リスクが上昇します。今回は、双胎妊娠の周産期リスクについての報告をご紹介いたします。 

ポイント

双胎妊娠、体外受精、母体年齢上昇は、周産期リスクを上昇させる独立因子です。避けられ得るものを一つでも減らす努力が必要です。 

引用文献

Yuanyuan Wang, et al. JAMA Netw Open. 2021 Sep 1;4(9):e2123634. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2021.23634. 

論文紹介

体外受精妊娠した双胎妊娠において、母体年齢における周産期リスクを予測することを目的とした中国からのレトロスペクティブコホート研究です。2013年1月1日から2018年12月31日までに出生既往の妊婦を対象としました。
体外受精による双胎妊娠(IVF-T)、体外受精による単胎妊娠(IVF-S)、非体外受精による双胎妊娠(nIVF-T)、非体外受精による単胎妊娠(nIVF-S)の4群に分け、母体合併症(妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、癒着胎盤、早産、難産、帝王切開分娩、産後出血)および新生児合併症(IUGR、低出生体重児、超低出生体重児、巨大児、奇形児、死産)を含む周産期リスクを評価しました。 

結果 

20~49歳の妊婦16879728名(平均[SD]年齢、29.2[4.7]歳)において、双胎妊娠率はIVF群で32.1%、非IVF群で1.5%でした。周産期リスクで高かったのは帝王切開分娩(88.8%)、低出生体重児(43.8%)、早産(39.6%)、妊娠糖尿病(20.5%)、妊娠高血圧症候群(17.5%)、難産(16.8%)、産後出血(11.9%)でした。 

パターンA:IVF-T→nIVF-T→IVF-S→nIVF-Sのリスク (双胎妊娠がリスク上昇として強い場合)
妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、早産、難産、帝王切開分娩、産後出血、胎児発育制限、低出生体重、超低出生体重、奇形

パターンB:IVF-T→IVF-S→nIVF-T→nIVF-Sのリスク(体外受精がリスク上昇として強い場合)
妊娠糖尿病、癒着胎盤
前置胎盤リスクはパターンBに一部一致 

私見

不妊治療は周産期リスクまで見据えて行っていくことが大事です。
妊娠することがゴールではありません。ただ、妊娠しないことには先に進めないのも事実ですから、複数胚移植を減らすには医療者だけではなく患者・社会の双胎妊娠リスクへの理解が進まないと難しいと考えています。 

関連コラムもご参照ください。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 多胎

# 帝王切開

# 周産期合併症

# 年齢素因

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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