治療予後・その他

2023.10.24

妊娠高血圧腎症予防のアスピリン投与について(AJOG2023 Clinical Opinion)

はじめに

米国産科婦人科学会(ACOG)、英国王立産科婦人科学会(RCOG)、英国国立医療技術評価機構(NICE)、世界保健機関(WHO)、国際産科婦人科連合(FIGO)の妊娠高血圧腎症予防目的でのアスピリン開始時期、推奨量、中止時期は以下となっています。

開始時期 推奨量 中止時期 
ACOG12-28週 
16週未満推奨
81mg分娩まで
RCOG12週150mg分娩まで
WHO20週未満75mg記載なし
FIGO11週から14週6日まで150mg 36週まで、分娩になったときまで、妊娠高血圧腎症の診断される時まで 
NICE 12週 リスク中:75mg 
リスク高:150mg 
分娩まで 

ポイント

各国ガイドラインにより妊娠高血圧腎症予防のアスピリン投与時期・量は異なりますが、妊娠16週以前の1日100mg超投与が最も効果的である可能性があります。 

引用文献

Rebecca Horgan, et al. Am J Obstet Gynecol. 2023 Oct;229(4):410-418. doi: 10.1016/j.ajog.2023.04.031. 

論文内容

主要な国際機関5団体(ACOG、RCOG、NICE、WHO、FIGO)の妊娠高血圧腎症予防目的でのアスピリン投与に関するガイドラインを比較検討した。開始時期は11-20週と幅があり、推奨量は75-150mgと差があった。総合的には妊娠16週以前の100mg超投与が最も効果的と考えられる。分娩後出血のリスクには注意が必要だが、胎児への安全性は確認されている。現在進行中のRCTにより162mg投与の有効性・安全性がさらに明確になる予定である。 

私見

総合的判断として、妊娠16週以前に1日100mgを超えるアスピリンの投与が妊娠高血圧症候群リスクを減少させるのに最も効果的でありそうです。 
ただし、分娩後出血の増加は懸念材料であるので注意が必要です。最近のエビデンスでは、妊娠中の低用量アスピリン使用による胎児の頭蓋内出血、発育転帰、先天奇形のリスク増加は認めていません。 
妊娠高血圧腎症予防としてアスピリン1日162mgがアスピリン1日81mgより優れているかどうかを評価するランダム化比較試験が現在計画中または進行中であり、アスピリン1日162mgの安全性と有効性の両方についてさらに明確になりそうです(NCT04070573およびNCT05514847)。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# アスピリン、ヘパリン

# 妊娠高血圧症候群

# ハイリスク妊娠

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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