一般不妊

2023.05.18

排卵期プロゲステロン投与をしても排卵がおきる?(J Assist Reprod Genet. 2023)

はじめに

プロゲステロンをゴナドトロピンサージのトリガーとして使用することで排卵や黄体形成が起こるかどうかを示した症例報告をご紹介いたします。

ポイント

排卵間際ではプロゲステロン5-10mgの投与では排卵が誘発される、もしくは止まらないことがわかりました。

引用文献

Lina Villar, et al. J Assist Reprod Genet. 2023 Feb 20. doi: 10.1007/s10815-023-02750-x.

論文内容

発育卵胞がトリガーを通常実施する大きさに達した段階でプロゲステロン5-10mgを筋肉内投与したところ、約48時間後に排卵が超音波で確認でき、妊娠したというだけの報告です。一症例目では17時間後にLHサージを確認、二症例目では24時間後にLHサージを確認しています。

結果

現在、排卵を誘発するトリガーにはhCG製剤やGnRHアゴニスト製剤が一般的に用いられています。そのほかにも、GnRHシグナル伝達経路の強力なセカンドメッセンジャーであるキスペプチンの臨床試験が進められていますが一般臨床応用される時期は不透明です。

私見

この症例報告は一度、読んだ後に、①排卵を誘発したのか、②排卵が止まらず自然に排卵が起きただけなのか、わからないなと感じていたのでブログで取り扱うことを見送った経緯があります。
個人的な備忘録としても含めてブログに上げておこうと思った理由は、プロゲステロンを排卵時期に投与しても排卵が止まらない可能性が高いという事実です。
最近、凍結融解胚移植のHDPリスクとして黄体の有無が注目されています。ただ、胚移植日が限られている生殖医療施設では排卵周期での凍結融解胚移植が実施できないことも少なくありません。排卵間際の卵胞発育を起こっていれば、その段階から黄体補充を行なっても黄体形成がされる可能性が高いと判断できます。応用されて、Eggersmann TK, et al.,2025で提唱されたPO-FET(Programmed Ovulatory FET)、Kornilov et al., 2024が提唱したP4mNC(Progesterone-modified Natural Cycle)、Mendes Godinho et al., 2024が提唱したNPP(Natural Proliferative Phase)プロトコルが2024-2025年のトピックスになってきています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# プロゲステロン/プロゲスチン

# 排卵誘発、トリガー

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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