一般不妊

2020.09.28

レトロゾールを用いる人工授精(Asian Journal of Pharmaceutical and Clinical Research 2018)

はじめに

私たちはレトロゾールを用いて、PCOSや原因不明の不妊症の患者のタイミング療法や人工授精を行います。いつも悩ましいのは人工授精・タイミングをとるときに下記のような組み合わせとなるのですが、どこを取捨選択すべきかです。 
①卵胞発育過程の卵巣刺激 なし/あり:クロミッド®、セキソビット®、レトロゾール 
②排卵時期の排卵誘発剤 なし/あり:オビドレル®などのhCG製剤やGnRHa点鼻 
③黄体補充 なし/あり:デュファストン®など 

ポイント

レトロゾールを用いた人工授精において、排卵誘発剤オビドレル®と黄体補充デュファストン®を併用することで妊娠率が向上する可能性があります。 

引用文献

Fadia Alizzi, et al. Asian Journal of Pharmaceutical and Clinical Research 2018 doi: 10.22159/ajpcr.2018.v11i8.25951 

論文内容

2016年6月から2018年1月までバグダッドのAl-Mustansiriyah大学で実施された前向き無作為化臨床試験です。PCOSの不妊患者149名を対象としています。A群(レトロゾール5mg/day内服群、n=99)とB群(レトロゾール5mg/day内服群+ゴナールF®併用群、n=50)に分け、オビドレル®で排卵誘発をした後、無作為にデュファストン®10mg/dayによる黄体補充を行うかどうかを再度分類しました。 

結果

有意差は認められませんでしたが、黄体補充を使用したレトロゾール群の方が妊娠率が高いことが示されました(p=0.08)。交絡因子を調整した結果、レトロゾール5mg/day内服群+ゴナールF®併用群+黄体補充群が有意に高い妊娠率が得られています。 

私見

海外の論文では、複数卵胞を育てた人工授精の報告が多いため自分たちが行っているようなデータをまとめている論文がなかなか見つかりませんでしたが、イラクの大学からイメージに近い論文報告があったので紹介いたします。 
原因不明不妊やPCOSに関してはレトロゾールが使用されることが一般的になってきました。2010年代はオフラベル薬剤でした。本当に10年単位で医療は大きく変わっていきます。日々アップデートが必要ですね。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 黄体補充

# クロミフェン、AIなど

# 人工授精

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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