培養

2023.07.29

受精卵の保管場所について

患者さんからお預かりした受精胚の保管場所について説明したいと思います。
患者さんの受精胚は凍結処理後、液体窒素で満たされた凍結タンクの中で保管します。

こちらが当院で使用している凍結タンクです。

凍結タンク1台の中はキャニスターと呼ばれる筒状の保管場所6つに分かれています。

この1キャニスターの中にはケーンが19本収納されています。

この1ケーンの中には保存容器が5本収納されています。

そして保存容器1本に受精胚が1個保管されています。

上記のルールに則って考えると、凍結タンク1台の中に収納できる受精胚の数は6(キャニスターの数)×19(ケーンの数)×5(保存容器の数)=570個、保管できる計算になりますが、現実は570個も保管していません。

ケーンの中には最大5本の保存容器を収納できますが、仮にAさんの保存容器1個、Bさんの保存容器4個を同じケーンの中に一緒に5本まとめて保管することは、保存容器の取違えを防ぐ観点からしていません。したがって上記の例でいきますと、Aさんの保存容器1個のためのケーンを1本、Bさんの保存容器4個のための別のケーンを1本、合計2本のケーンを使うことにしています。

保存容器には患者さんのID、氏名、生年月日、受精胚の凍結保存日等、識別に必要な情報は記載しているため、仮に1つのケーンに2人以上の患者さんの保存容器を混在して保管しても間違いのない識別は可能です。しかし、万が一の場合に備えて当クリニックでは1ケーンには1患者さんの検体しか保管しないルールにしています。

無理に1箇所に詰め込めば凍結タンク1台当たり収納できる受精胚の数を増やすことはできますが、それだけ操作が困難・煩雑となります。当クリニックでは無理をして大切な受精胚を危険に晒すことにならぬよう、余裕のあるルールで受精胚の保管をさせて頂いています。

文責:平岡謙一郎(亀田IVFクリニック幕張 培養管理室長/生殖補助医療管理胚培養士)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 凍結受精卵

亀田IVFクリニック幕張 生殖医療事業管理部 培養管理室長

平岡 謙一郎

亀田IVFクリニック幕張 培養管理室長/生殖補助医療管理胚培養士。広島県立大学大学院修了(博士)。体外受精の中心となる受精・培養・凍結について専門知見に基づき紹介している。

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