体外受精

2024.02.08

卵胞期刺激と黄体期刺激の回収卵子数はPOR患者で変わる?(F S Rep. 2023)

はじめに

POR女性に対して卵胞期刺激と黄体期刺激のどちらが回収卵子増加につながるかは議論が分かれています。続けて行うdouble stimulationの場合は、意図的にどの卵胞まで穿刺するか(黄体期に残すため)などのバイアスがかかってしまっている可能性があります。また黄体期が良いとする報告者らはHIPPO pathwayを活性化する採卵による機械刺激が良いと唱える人もいます。
一定期間をあけて同一患者のクロスオーバー試験で、卵胞期刺激と黄体期刺激の回収卵子数はPOR患者で変わるかどうか調査した報告をご紹介いたします。

ポイント

回収卵子数が4-9個のPOR女性では、一定期間をあけて同一患者のクロスオーバー試験で、卵胞期刺激と黄体期刺激の回収卵子数に変化は認めませんでした。

引用文献

Jorge Suñol, et al. F S Rep. 2023 doi: 10.1016/j.xfre.2023.07.003

論文内容

卵胞期刺激と黄体期刺激の回収卵子数をPOR患者で変わるかどうかを調査した前向き無作為クロスオーバー試験です。POSEIDON(Patient-Oriented Strategies Encompassing IndividualizeD Oocyte Number)基準(1b/2b)による不妊女性41名を対象としました。女性年齢18~41歳、月経周期が規則的(21~35日)、両卵巣が存在することも追加条件としています。
卵胞期(FPS)または黄体期(LPS)に無作為に開始される2回の卵巣刺激を割り付けたクロスオーバー試験です。卵巣刺激周期は連続したものではなく、前回の採卵から45日以上6ヵ月未満と一定期間離れた期間に行いました。主要評価項目は、周期あたりのCOC数、副次評価項目はMII数、受精胚数、rFSH量、卵巣刺激期間としました。

結果

回収COC数は、FPS群とLPS群で同程度でした(7.5 ± 4.6個 vs. 7.0 ± 4.1個、95%CI:5.8-8.7個 vs. 5.6-8.3個、差:-0.5個、95%CI、-1.8-+1.5個)。同様に、MII数の平均は、FPS群とLPS群で差がありませんでした(5.4±3.6個 vs. 5.2±2.8個、95%CI 4.2-6.5個vs. 4.3-6.1個、差 -0.2;95%CI -1.2-1.1)。さらに、副次的目標(受精胚数、rFSH量、卵巣刺激期間)はFPS群とLPS群で差を認めませんでした。

私見

今回の研究ではPOSEIDON基準1b、2bを対象としています。
つまり年齢に問わずAFC 5個以上 AMH 1.2ng/mL以上である女性に対して標準的卵巣刺激を行い回収卵子が4個以上9個以下である群になります。
黄体期スタートはLH上昇4日後もしくは尿中LH陽性7日後から開始したGnRH拮抗薬固定法です(rFSH 150→300IU)。POR患者を対象としたせいかもしれませんが、rFSH投与量と卵巣刺激日数に差がつかなかったことが先行論文と異なり興味深い結果だと思っています。

卵巣刺激低反応患者の新しい層別化基準:Bologna基準からPOSEIDON基準へ(Fertil Steril. 2016; Hum Reprod. 2011)

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 早発卵巣不全

# 排卵誘発、トリガー

# 卵巣刺激

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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