
はじめに
中期流産は妊娠13週から27週の間に起こる妊娠喪失と定義され、確認された妊娠の0.1%から1%に生じるとされています。体外受精(IVF)後の中期流産の発生率と関連するリスク因子を評価した研究は非常に限られています。2015年から2023年に体外受精妊娠した女性における中期流産発生率とリスク因子を評価したレトロスペクティブコホート研究をご紹介いたします。
ポイント
体外受精後の中期流産の関連因子として、子宮腺筋症、子宮内癒着、卵管因子不妊が重要であり、特に子宮因子は中期流産のオッズを32.95倍増加させます。
引用文献
Sarah Rubin, et al. F S Rep. 2025. doi: 10.1016/j.xfre.2025.12.003.
論文内容
2015年から2023年に生殖医療施設で体外受精妊娠したすべての患者を対象としました。胎児異常のために人工妊娠中絶を受けた患者は除外されました。主要評価項目は体外受精後の中期流産発生率で、副次評価項目として多胎妊娠、人種、子宮因子、卵管因子不妊が評価されました。副次評価項目は全出生児(n=853)と比較し、子宮因子は同等の子宮構造評価を受けたサブセット(n=595)と比較されました。結果は1999年から2002年の過去のデータと比較されました。
結果
臨床妊娠した患者971人が含まれました。10.2%が初期流産となり、合計14人の患者が中期流産を経験しました(1.6%)。5人の患者が異数性のために人工妊娠中絶を受け、解析から除外されました。14人の患者が中期流産群に含まれ、853人の対照群と比較されました。中期流産と対照群の年齢には差がなく、それぞれ36.2±4.5歳と35.7±4.1歳でした(P=.45)。
子宮内因子を評価しました。子宮筋腫は中期流産群の14.3%(2/14)に対し対照群では7.2%(43/595)でした(P>.05)。子宮奇形は中期流産群の14.3%(2/14)に対し対照群では23.9%(142/595)でした(P>.05)。しかし、子宮腺筋症は中期流産のリスク増加と関連しており、中期流産群の35.7%(5/14)に対し対照群では6.4%(38/595)でした(P<.001)。さらに、子宮内癒着は中期流産群で35.7%(5/14)に対し対照群で12.6%(75/595)とより高い発生率でした(P=.029)。
卵管腹膜因子不妊は中期流産と正の関連があり、中期流産群の42.9%(6/14)に対し対照群では13.6%(116/853)でした(P=.0018)。
単変量解析において、黒人と自己申告した患者と中期流産の間に有意な関連が認められ、白人と自己申告した患者と比較して中期流産のオッズが20倍高くなりました。ヒスパニックまたはラティーノと自己申告した患者と中期流産の間にも有意な関連が認められ、白人と自己申告した患者と比較して中期流産のオッズが7.90倍高くなりました。
多変量モデルで人種・民族、出産歴、着床前遺伝学的検査(PGT-A)使用を調整すると、子宮因子は中期流産と有意な関連が認められ、子宮因子を有する患者では中期流産のオッズが32.95倍高くなりました(95%CI、1.02–1157.61; P=.031)。
中期流産の原因を評価したところ、14人の中期流産患者のうち、13人(1.5%)が前期破水(PPROM)と頸管無力症によるもので、1人(0.1%)が胎児死亡によるものでした。
私見
症例数が少ない報告なので、なんとも言えませんが①子宮腺筋症、②頸管拡張操作を行った症例は中期流産リスクが高そうですね。初めから高次施設に紹介すること、リスク因子を明確に紹介状に記載するところから始めていくべきだと考えています。早期の頸管長サーベイランス、乳酸菌補充によって避けられうる中期流産はへらしていきたいですね。
文責:川井清考(WFC group CEO)
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