今回は SEET(子宮内膜刺激法)について、2つのアニメーションを使って解説します。
SEETとは、胚盤胞をお腹の中に戻す2日前に、あらかじめ子宮の中へ「特別な培養液」を注入しておく方法です。
この「特別な培養液」とは、胚盤胞が育ったときに使われていた培養液のことです。
アニメーション①:特別な培養液ができるまで
受精胚は、1細胞期から2→4→8細胞期→桑実期、そして胚盤胞へと発育していきます。この発育の過程で、受精胚からは着床に関わるタンパク質やシグナル分子など、子宮内膜を刺激すると考えられる物質が培養液中に少しずつ分泌されます。
アニメーションでは、胚が成長するにつれて分泌物(灰色の小さな点)が徐々に増えていく様子を示しています。
胚が胚盤胞まで育ったら、胚盤胞は凍結保存されます。同時に、胚盤胞が育った後に残る培養液も凍結保存します。この培養液がSEETに使う「特別な培養液」です。
ここで重要なのは、どんな培養液でも使えるわけではないという点です。
- 受精胚を培養していない培養液
- 発育途中で止まってしまった胚の培養液
これらには、子宮内膜を刺激する物質が十分に含まれていないと考えられるため、使用できません。
したがって、受精胚が胚盤胞まで育たなかった周期では、特別な培養液を確保できずSEETを行うことはできません。あくまでも、胚盤胞まで発育した胚が存在する周期でのみ実施可能です。
アニメーション②:SEET の実際の流れ
胚移植日の2日前に、凍結保存していた「特別な培養液」を解凍し、子宮の中に注入します。アニメーションでは、培養液中の分泌物が子宮内膜に作用している様子を黄色で示しています。
注入から胚移植までの2日間に、培養液中の物質が子宮内膜を刺激し、着床しやすい環境を整えると考えられています。
その2日後、凍結保存していた胚盤胞を解凍し、子宮の中に戻します。整えられた子宮内膜に胚盤胞を移植することで、着床を促す効果が期待されます。
まとめ
今回は SEET(子宮内膜刺激法)について、
- 特別な培養液がどのように作られるのか
- 実際の治療の流れを2つのアニメーションを使って解説しました。
SEETは、胚自身が分泌した物質を利用して子宮内膜を整える、「胚と子宮のコミュニケーション」を活かした治療法といえます。
文責:平岡謙一郎(亀田IVFクリニック幕張 培養管理室長/生殖補助医療管理胚培養士)
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