体外受精

2025.02.27

GnRHアゴニスト法低反応患者におけるrLHの役割 (Reprod Biol Endocrinol. 2019)

はじめに

適切な卵巣刺激反応は生殖補助医療(ART)の成功に不可欠です。若年齢、卵巣予備能が正常範囲以上でもゴナドトロピンへの反応が乏しい「低反応」の女性がいることが知られています。①FSHβ遺伝子のプロモーター領域、②FSHR(FSH受容体)の遺伝子多型、③LHβ鎖の遺伝子多型、④LHCGR(LH受容体)の遺伝子多型などで低反応になることがわかっていますが、実際には遺伝子異常の調査をして治療開始するわけではないため、実臨床におけるゴナドトロピン投与法の工夫が必要です。本研究では、rFSH製剤を用いたGnRHアゴニスト法低反応患者におけるrLH補充の有効性を検討したメタアナリシスをご紹介します。

ポイント

rFSHへの低反応を示す女性に対するrLH補充は、臨床的妊娠率、着床率、採卵数を改善する可能性があります。

引用文献

Alessandro Conforti, et al. Reprod Biol Endocrinol. 2019 Feb 6;17(1):18. doi: 10.1186/s12958-019-0460-4.

論文内容

GnRHアゴニスト法低反応患者におけるrLH補充の役割を検討することを目的としたシステマティックレビューおよびメタアナリシスです。
対象は、FSH単独療法とLH補充療法を比較した前向き臨床試験。Scopus、MEDLINEを使用して言語・時期の制限なく検索されました。

低反応の定義:
・前回の採卵でrFSH >2500 IUが必要であった
・刺激7-8日目でE2 <180 pg/ml、卵胞10mm以上なし、6-10mm複数あり

卵巣刺激法:GnRHアゴニスト法にてrFSH 150–300単位/日を使用。rLHは刺激7-8日目より75–150 IUを追加投与。

結果

・臨床的妊娠率:OR 2.03, P=0.003
・着床率:OR 2.62, P=0.004
・採卵数:平均差 1.98個, P=0.03
・成熟卵子数、流産率:差なし

私見

今回のメタアナリシスでは、rFSHを用いたGnRHアゴニスト法低反応患者においてLH補充の有効性が示されました。
ただし、一般集団(general population)においてはrFSH単独とrFSH+rLH併用に大きな差はなく、刺激の最適化と個別化を常に意識した卵巣刺激戦略が求められます。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当ブログ内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# ゴナドトロピン

# 卵巣刺激

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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