体外受精

2024.10.17

PGTのための複数回凍結は成績を低下させる(Reprod Biomed Online. 2021)

はじめに

着床前検査を実施したときに結果が出てこない確率が1.5%前後あるとされていて、複数回のtrophectoderm生検や凍結融解が必要となることがあります。それ以外にも、一度凍結した胚を融解し着床前検査を実施したくなるタイミングに様々な場面で遭遇します。複数回のtrophectoderm生検や凍結融解が、その後の生殖予後に影響を与えるかどうか調査した報告をご紹介いたします。 

ポイント

複数回のtrophectoderm生検や凍結融解は生殖予後に影響を与える可能性が強いですが、成績差がない報告もあり手技による影響が示唆されます。 

引用文献

Ashley Aluko, et al. Reprod Biomed Online. 2021 Mar;42(3):572-578.  doi: 10.1016/j.rbmo.2020.11.019. 

論文紹介

複数回のtrophectoderm生検や凍結融解が体外受精生殖予後に悪影響を及ぼすかどうか調査したレトロスペクティブコホート研究です。2013年から2017年に単一胚盤胞移植を実施しPGT-Aのためにtrophectoderm生検を実施した患者を3つのグループに分けました。3つのグループは、生検1回+凍結融解1回(BC群、n = 2603)、生検1回+凍結融解2回(CBC群、n = 95)、生検2回+凍結融解2回(BCBC群、n = 15)。主要評価項目は生児出生とし、副次評価項目には妊娠反応陽性、臨床的妊娠、流産としました。 

結果

生検1回+凍結融解2回群は、生検1回+凍結融解1回群と比較して、生児出産率が低く(aRR 0.57、95% CI 0.41~0.79)、臨床妊娠も低くなりました(sRR 0.67、95% CI 0.53~0.85)。流産率は生検1回+凍結融解2回群と生検1回+凍結融解1回群で同じでした(aRR 1.3、95% CI 0.64~2.7)。 

BC群、n = 2603  CBC群、n = 95  BCBC群、n = 15  
妊娠反応陽性72.5%  57.9%  60.0%  
臨床的妊娠  62.4%  38.9%  46.7%  
流産  6.6%  8.4%  0%  
生児出生  55.1%  28.4%  46.7%  

私見

今回の報告BCBC群では有意差がつかなったのは、症例数が少ないからでしょうか。過去の同様の報告に比べて今回の報告で成績差が大きいのは手技による影響なのかもしれません。 
成績低下は着床しない、生化学的妊娠が増える可能性がある、が今回の結果のようです。 
複数回のtrophectoderm生検や凍結融解の生殖予後が悪化する可能性はしっかり事前に情報提供する必要がありそうです。 

生児出生  

BC群  CBC群  BCBC群  
Bradley et al. (2017)  50.0%  38.5%  27.3%  
Ciamodo et al. (2018)  42.9%  38.8%  
Aluko, et al.(今回)  55.1%  28.4%  46.7%  

生児出生+妊娠継続  

BC群  CBC群BCBC群  
Taylor, et al.(2014)  54.0%  50.0%  0%  

妊娠継続  

BC群  CBC群BCBC群  
Neal, et al.(2019)  66.8%  63.2%  50.0%  

Bradley CK, et al.Fertility and sterility. 2017.108, 999–1006   
Cimadomo D, et al. Human reproduction.2018.33,1839–1846   
Taylor TH, et al.Reproductive biomedicine online.2014. 29, 59–64   
Neal SA, et al. Journal of assisted reproduction and genetics.2019.36,2103–2109  

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 着床前遺伝学的検査(PGT)

# 胚盤胞

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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