体外受精

2022.08.10

ルティナス腟錠100mg®の国内での使用成績調査について

はじめに

亀田IVFクリニック幕張では、2025年現在、4種類の腟剤を処方していますが、メインに用いている薬剤の一つがルティナス腟錠100mg®です。
発売後の「生殖補助医療における黄体補充」使用成績調査最終報告が2022年6月に作成され発表されています。気になるところをご紹介させていただきます。

ポイント

ルティナス腟錠100mg®の国内使用成績調査において、移植時プロゲステロン濃度は十分に担保され、副作用発現率は4.2%で安全性が確認されています。

引用文献

医療従事者の方は「Ferring CONNECT」(https://www.ferringconnect.jp)を、一般の方はインタビューフォームをご覧ください。

まとめ

凍結融解胚移植時の血清プロゲステロン濃度(症例数156件)
血清プロゲステロン濃度 14.0± 7.8 ng/mL
中央値 12.8 ng/mL
第1四分位点 9.5 ng/mL
第3四分位点 16.5 ng/mL

母体における副作用発現率は4.2%(47/1124名)
生殖系および乳房障害の副作用の内訳は下記の通りでした。
性器出血 27件
腟ビラン 3件
子宮出血、腟分泌物、腟出血 各2件
卵巣腫大、陰部そう痒症、外陰腟痛 各1件

私見

移植時プロゲステロン濃度が胚移植妊娠成績に影響するという報告が散見します。こ第1四分位をみても血清プロゲステロン濃度が担保できるのは、この薬剤での特徴かと思っています。
報告されている副作用は、当院でも患者から訴えが多いですが、成績には直接的な影響がないと判断しています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# プロゲステロン/プロゲスチン

# 黄体補充

# ホルモン調整周期下胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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