はじめに
COVID-19ワクチンについて、様々な妊娠後に対する報告が出てきていましたが、やっとCOVID-19ワクチンと流産・継続妊娠率の関係を調査したメタアナリシスが出て参りましたのでご紹介いたします。
ポイント
COVID-19ワクチン接種は、流産リスク増加と関連しません。プラセボまたはワクチン接種を受けなかった女性と比較して、COVID-19ワクチン接種女性の流産リスクに差がなく、継続妊娠率や出生率も同等でした。
引用文献
Michael P Rimmer, et al. Hum Reprod. 2023 Feb 16;dead036. doi: 10.1093/humrep/dead036.
論文内容
2022年6月までMEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRALを用いて関連報告を検索しました。COVID-19ワクチン接種妊婦とプラセボまたはワクチン接種なし妊婦と比較・評価した観察研究および介入研究を対象としました。継続妊娠率、出生率、流産を評価対象としています。
結果
149,685名の女性についての21研究(5:無作為化試験+16:観察研究)を対象としました。COVID-19ワクチン接種女性における流産率は9%(n=14,749/123,185, 95%CI 0.05-0.14)でした。プラセボまたはワクチン接種を受けなかった女性と比較して,COVID-19ワクチン接種女性は流産のリスクが高くなく(RR 1.07,95% CI 0.89-1.28,I2= 35.8%)、継続妊娠率または出生率も差がありませんでした(RR 1.00,95% CI 0.97-1.03,I2= 10.72% )。
私見
絨毛組織中のヒトシンシチン-1タンパク質に対して、ワクチン接種後のSARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体の潜在的な交差反応性に対して懸念されたことがありましたが、ワクチンに対する流産上昇を含めた妊娠時接種リスクはそこまで意識しなくて大丈夫そうです。
文責:川井清考(WFC group CEO)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。