体外受精

2023.12.18

FETのプロゲステロン投与方法は何がよい?(Arch Gynecol Obstet. 2023)

はじめに

ホルモン調整周期凍結融解胚移植のプロゲステロン投与方法の是非については、結論がでていません。生殖医療成績・費用・身体への侵襲度・通院回数・患者満足度など様々な指標があります。2023年現在、プロゲステロン投与経路による生殖医療成績を比較したシステマティックレビューをご紹介いたします。

ポイント

現在のところ、ホルモン調整周期凍結融解胚移植のプロゲステロン投与方法の生殖医療成績に関する一定のコンセンサスは認められていません。

引用文献

Almohammadi A, et al.Arch Gynecol Obstet. 2023 Aug;308(2):341-350. doi: 10.1007/s00404-022-06674-2.

論文内容

ホルモン調整周期凍結融解胚移植を対象にMedline(PubMed)、Embase、Web of Science、およびCochrane Trials Registerにてプロゲステロン投与経路(経口、経膣、筋肉内注射)を比較したランダム化比較試験を検索しました。評価項目は臨床妊娠率、出生率、流産率としました。

結果

4つランダム化比較試験(3245名)が該当しました。エビデンスは不均一で質が低く、一定のコンセンサスに、結びつけることは難しそうでした。

著者国:サイズ経口投与経膣投与筋注投与組み合わせ
Rashidi et al.2016Iran,
n = 180
dydrogesterone(40mg)800 mg/day100mg/day
Devine et al.2021United States,
n = 1125
400 mg/day50mg/day経膣投与(400mg/day)+ 筋注(50mg/週2回)
Zarei et al.2018Iran,
n = 440
dydrogesterone (20 mg)800 mg/day経口投与(GnRHa or hCG
Wang et al.2015China,
n = 1500
90 mg gel/day40mg/day
評価対象著者経口 vs 経膣
Relative risk
(95% CI)
筋注 vs 経膣
Relative risk
(95% CI)
筋注 vs 経口
Relative risk
(95% CI)
臨床妊娠率Rashidi et al.20161.29 (0.77–2.19)1.35 (0.82–2.27)1.35 (0.82–2.27)
Devine et al.20211.46 (1.21–1.76)*
Zarei et al.20160.45 (0.22–0.92)
Wang et al.20151.01 (0.89–1.15)
生児獲得率Rashidi et al.20161.06 (0.60–1.89)1.13 (0.64–1.99)1.06 (0.61–1.84)
Devine et al.20211.62 (1.28–2.05)
Zarei et al.20160.50 (0.24–1.04)
Wang et al.20150.97 (0.84–1.13)
流産率Rashidi et al.20161.55 (0.22–11.3)1.48 (0.21–10.8)0.96 (0.18–5.1)
Devine et al.20210.70 (0.45–1.09)
Zarei et al.2016
Wang et al.20151.13 (0.80–1.61)

私見

現在のところ、ホルモン調整周期凍結融解胚移植のプロゲステロン投与別による生殖医療成績は一定の見解がありません。 難治症例には、血清プロゲステロン濃度を含めた他パラメーターを参考にしたり、投与経路が異なる製剤を組み合わせて使用したりすることが行われています。

Rashidi BH, et al. Asian Pacific J Reprod. 2016;5(6):490–494. doi: 10.1016/j.apjr.2016.10.002.
Devine K, et al. Fertil Steril. 2021;116(3):633–643. doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.04.013.
Zarei A, et al. Arch Gynecol Obstet. 2017;295(1):239–246. doi: 10.1007/s00404-016-4217-4.
Wang Y, et al. Medicine. 2016;95(9):e2939. doi: 10.1097/MD.0000000000002939.

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# プロゲステロン/プロゲスチン

# ホルモン調整周期下胚移植

# 総説、RCT、メタアナリシス

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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