プレコンセプションケア

2021.11.29

女性BMIは内膜受容能のずれに影響する(Reprod Sci. 2021)

はじめに

子宮内膜胚受容能検査を実施するときに、女性の体重変化があると子宮内膜胚受容能が変化する可能性に触れます。体重が増えると内膜受容能はどう変化するのでしょうか。

ポイント

BMIが高い女性では子宮内膜胚受容能検査においてpre-receptive割合が増加し、肥満は内膜受容能を遅らせる可能性があります。体重管理は妊娠成績向上において重要な要素です。

引用文献

José Bellver, et al. Reprod Sci. 2021. DOI: 10.1007/s43032-021-00631-1

論文内容

BMIの上昇が、着床の窓を変化させるかどうか子宮内膜胚受容能検査(ERA検査)を用いて前向きに検討しています。
子宮形態正常であり、反復流産や反復着床不全の既往がない不妊女性170名をリクルートし、これらの女性を正常体重(18.5〜24.9kg/m²;n=44)、過体重(25〜29.9kg/m²;n=29)、軽度肥満(30.0〜34.9kg/m²;n=54)、中等度もしくは重度肥満(>35kg/m²;n=43)に分類しました。また患者をBMI 30kg/m²をカットオフとし正常群(n=73)と肥満群(n=97)に分けて検討しました。
ERA検査の条件設定ですが、エストロゲン補充し、子宮内膜7mm以上となり、血清エストラジオール濃度100pg/ml前後、血清プロゲステロン濃度1ng/ml以下の時点で、プロゲステロン腟剤(400mg、1日2回)補充を開始しP+5(120時間)に子宮内膜生検を行っています。

結果

臨床結果と内膜受容能検査を検討したところ、BMIが上昇するに伴い、血糖値、TSH、インスリン、LDLコレステロール、トリグリセリド、収縮期・拡張期血圧の増加、HDLコレステロールの低下を認めました。内膜受容能検査はpre-receptiveが増加しました。 
女性肥満は内膜受容能を遅らせ、患者の代謝状況に影響を与えます。 

 receptive Early receptive Pre-receptive 
BMI 18.5-24.9 34/44 (77.3%) 9/43 (20.9%) 1/35 (2.8)% 
BMI 25-29.9 22/29 (75.9%) 2/24 (8.3%) 5/27 (18.5%) 
BMI 30-34.9 38/54 (70.4%) 4/42 (9.5%) 12/50 (24.0%) 
BMI 35- 30/43 (69.8%) 2/32 (6.2%) 11/41 (26.8%) 
 receptive Early receptive Pre-receptive 
正常群 56/73 (76.7%) 11/67 (16.4%) 6/62 (9.7%) 
肥満群 68/97 (70.1%) 6/74 (8.1%) 23/91 (25.3%) 

私見

女性の過体重では、痩せることが妊娠・出産への近道です。ただ過体重による妊娠成績の低下を患者の責任だけにするのも何か違う気もします。精神面サポート・栄養管理・運動管理を含めてチームでサポートできる体制を作っていかなくてはいけないのはわかっているのですが、なかなか難しい現状があります。
徐々に整えていきたいと思っています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 体重、BMI

# 子宮内膜胚受容能検査

# 反復着床不全(RIF)

# ホルモン調整周期下胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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