プレコンセプションケア

2021.11.26

女性BMI高値で受精胚の質は変わらない(Hum Reprod. 2021)

はじめに

女性BMI高値は妊娠・出産にネガティブに働くことを触れてきていますが、受精胚の質は低下するのでしょうか。体外受精を受ける正常体重の女性とBMI高値女性では、胚の分割パターンや胚盤胞の形成率は異なるかを検討した報告をご紹介いたします。 

ポイント

BMI高値女性では初期胚発生の遅延はみられるものの、胚盤胞到達率や胚質は正常体重群と差がなく、体外受精の成績低下は子宮内膜の受容性低下によるものと考えられます。 

引用文献

José Bellver, et al. Hum Reprod. 2021. DOI: 10.1093/humrep/deab212 

論文内容

2016年1月から2020年5月まで2822名3316周期の顕微授精を対象としたレトロスペクティブなコホート研究で、1,251周期は着床前検査で検討され、total17,848個の胚を分析しました。 
低体重:BMI<18.5kg/m²、普通体重:BMI18.5~24.9kg/m²、過体重:BMI25~29.9kg/m²、肥満:BMI>30kg/m²としました。 

結果

BMI高値女性では、初期の胚発生が遅かったにもかかわらず、day5およびday5+6の胚盤胞到達率は、他の3つのBMIグループと比べて差がありませんでした。胚盤胞のICMとtrophectodermはグループ間で類似しており、胚盤胞形成までの発育・停止パターンや、胚盤胞の拡張・ハッチングのタイミングも同様でした。 
胚盤胞形成や胚のmorpho kineticは、BMI高値女性によって影響を受けることはなく、肥満女性で体外受精の結果が悪いのは、おそらく子宮内膜の受容性が低いためと考えられます。 

私見

この報告でも書いていますが、BMI高値女性の卵質低下はあまり気になりません。 
BMI高値女性は、卵巣刺激に対する卵巣反応が低下しますが、ゴナドトロピンの投与量を増やすことで改善または補うことができます。それにより卵質の低下はないとされています。 
正倍数性胚を移植しても流産率が高いという報告もあり、肥満女性は代謝を調節する遺伝子発現が変化していることが考えられます。そのほか、ホルモン調整周期における子宮内膜胚受容能検査によってpre-receptiveの割合が増えることがわかっています。 
BMI高値女性の着床率が落ちるという報告は、ほとんどが新鮮胚移植を検討したものなので、凍結融解胚移植で黄体補充をしっかり補充しても成績が落ちるのか今後の検討が課題となっています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 体重、BMI

# 胚質評価

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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