体外受精

2021.10.04

体外受精のオプション治療を行う決め手は?( Hum Reprod. 2021)

はじめに

体外受精のアドオン(オプション治療)とは、通常の体外受精に付加して行う処置や治療のことで、わかりやすいところでいうと、漢方治療、鍼灸、体外受精で行うSEET法やスクラッチングなども含まれます。少しでも妊娠率を高めるために医療者から提案したり、患者様が様々なところから情報を入手して希望され行うことが多いと思いますが、意思決定をどのように行なっているかは調査されていませんでした。こちらに焦点をあてた論文をご紹介いたします。

ポイント

体外受精のアドオン治療を受けた女性の82%が実施しており、54%が不妊専門医の助言で決定していました。しかし、治療が不成功だった女性の83%がアドオンの実施を後悔しており、科学的根拠とメリット・デメリットの十分な説明が重要であることが示されました。

引用文献

S Lensen, et al. Hum Reprod. 2021.DOI: 10.1093/humrep/deab098

論文内容

2017年以降に体外受精を受けたオーストラリアの女性を対象に、SNSを通じてオンライン調査を実施しました。調査項目は、患者背景、体外受精および治療経過、アドオン(種類、費用、意思決定に影響を与えた情報源)などとしました。また、安全性と有効性に関する科学的根拠の重要性も意思決定の際に考慮しているか、アドオンしたことを後悔しているかも質問しました。

結果

1,590名の回答が得られ、82%の女性がアドオンを行なっていました。アドオンの72%に追加費用が発生しており、54%の女性は不妊専門医からアドバイスを受け、意思決定をしていることがわかりました(ついで、友人や家族、SNSとなっています)。
安全性と有効性に関する科学的根拠を重要視しており、49%の女性がアドオンの安全性を確認して実施していました。アドオンを実施した66%の女性は、実施した意思決定に対して後悔しており、体外受精が不成功であった女性(83%)と、不妊専門医が意思決定に強く影響を与えたと感じている女性(75%)でより深刻でした。
調査期間:2020年6月21日から7月14日

私見

アドオン(オプション治療)をどこまで勧めるかは私たちも日々迷うところです。
科学的根拠があることは早めに勧めますが、どうしても費用負担がかかるものや科学的根拠が乏しいものに対して、どのステージで勧めるべきか、統一見解はありません。
「手を抜かずにやってくれた」という安心感がアドオンにはあるというWilkinsonらの報告もありますが、結局はアドオンのために費用負担をして妊娠しなければ後悔しますよね。この論文でも記載されていますが、なぜアドオンを推奨するのかをメリット、デメリット、科学的根拠を十分説明したうえで患者様に意思決定を促すのが患者様参加型の不妊治療となり納得いく医療につながり後悔も少しずつは解消されるのかなと感じています。
ちなみに今回アンケートで検討されたアドオン治療は以下の通りです。

  • 補完治療 鍼灸治療、漢方薬、メラトニン、アンドロゲン
  • 卵巣刺激・移植に用いる薬剤 プレドニゾロン、成長ホルモン
  • 培養関係 着床前検査(PGT-A)、タイムラプス、アシストハッチング、IMSI、spermslowなどを用いたICSI、GM-CSF培地、カルシウムイオノフォア、スピンドル可視化装置
  • 移植関係 ヘパリン、アスピリン、EmbryoGlue、スクラッチング、イントラリピッド、PRP、IVIG、ERA、Viagra(血管拡張剤)

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 費用対効果

# SNS

# 心理的素因

# 総説、RCT、メタアナリシス

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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