体外受精

2022.03.12

卵巣機能低下症例にPPOSは有効?(Front Endocrinol (Lausanne). 2022)

はじめに

卵巣予備能が低下した高齢女性の初回の体外受精周期においてマイルド刺激との成績を比較した報告です。過去の報告より比較的多い症例数ですのでご紹介させていただきます。

ポイント

40歳前後のAMH 0.7ng/ml程度の卵巣予備能低下女性に対して、PPOSはマイルド刺激と同等の生殖医療成績であり、早発LHサージをより抑制する有効な方法であることが示されました。

引用文献

Xiaoyu Tu, et al. Front Endocrinol (Lausanne). 2022. DOI: 10.3389/fendo.2021.801026

論文内容

2017年1月から2020年12月に、35歳以上の卵巣機能不全女性(AMH<0.5-1.1ng/mLまたはAFC<5-7)で初回の体外受精周期の女性を対象としたレトロスペクティブコホート研究です。PPOSとマイルド刺激をそれぞれ139人と600人に実施しました。
主要評価項目は累積臨床妊娠率および累積出生率としました。副次評価項目は、回収卵子数と良好有効胚としました。

結果

PPOSとマイルド刺激の患者背景に差がありませんでした。総ゴナドトロピン量はPPOS群が多く(1906.61 ± 631.04 IU vs 997.72 ± 705.73 IU, P<0.001)、刺激時間が長くなりました(9 (10-7)日 vs 6 (8-4)日, P<0.001)。
回収卵子数(3(6-2)個 vs 2(4-1)個、P<0.001)および良好有効胚(1(2-0)個 vs 1(2-0)個、P=0.038)はマイルド刺激よりPPOSの方が良い傾向にあり有意差がありました。LHサージの発生率は、PPOSがマイルド刺激に比べ低くなりました(0.7% vs. 8.3%、P=0.001)。
累積臨床妊娠率、累積期待臨床妊娠率、累積出生率、累積期待出生率には差はありませんでした。
多変量ロジスティック回帰モデルでは、回収卵子数と良好有効胚が累積臨床妊娠率(OR=1.236, 95%CI: 1.048–1.456, P=0.012, OR=2.313, 95%CI: 1.676–3.194, P<0.001)および累積出生率(OR=1.250, 95%CI: 1.036–1.508, P=0.020, OR=2.634, 95%CI: 1.799–3.857, P<0.001)に正の相関を、女性年齢が累積臨床妊娠率(OR=0.805, 95%CI: 0.739–0.877, P<0.001)および累積出生率(OR=0.797, 95%CI: 0.723–0.879, P<0.001)に負の相関を示すことがわかりました。

プロトコールは以下の通り

  • PPOS群
    MPA 10mg/日またはDYG 20mg/日
    day2-3からトリガーまで ゴナドトロピン150〜300IU/日
  • マイルド刺激群
    クエン酸クロミフェン50〜100 mg/日またはレトロゾール2.5〜5 mg/日
    day2から5日間投与 その後ゴナドトロピン 0-225 IU/日をトリガーまで

トリガーはGnRH アゴニストまたはrhCG 250ug、hCG 3000-10000 IU

私見

PPOSは、40歳前後のAMH 0.7ng/ml程度の卵巣予備能低下女性に対してマイルド刺激と同等の生殖医療成績であり、早発LHサージ抑制をより抑制する有効な方法であることが示されました。
今回の症例では除外基準として子宮内膜症III-IV期、子宮腺筋症、卵巣手術歴が除外されています。特に内膜症などで卵巣予備能が低下している女性にPPOSがよいのか、マイルド刺激がよいのかわかってくると、より患者様に適した治療を提供できるかと思っています。

関連コラム

卵子数が少ない高年齢女性へのPPOSは?(Reprod Biol Endocrinol. 2019)  

卵巣予備能低下群に黄体期卵巣刺激はどう?(Reprod Biol Endocrinol. 2020) 

黄体期卵巣刺激は先天異常を上昇しない(Fertil Steril. 2015) 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 早発卵巣不全

# 卵巣刺激

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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