体外受精

2026.09.24

亀田IVFクリニック幕張の妊娠成績:2024年と2025年の比較

はじめに

当院では毎年、一般不妊治療と体外受精の妊娠成績をホームページで公開しています。2025年は8月に「医療法人社団亀田会 亀田IVFクリニック幕張」として独立し、9月には担当医師の交代もありました。診療体制が変わる年は成績が揺らぎやすいものですが、結果として胚移植あたりの臨床的妊娠率は前年を上回り、流産率は低下しました。本コラムでは、2024年と2025年の成績を振り返りながら、変わったこと、変わらなかったこと、その背景や当院の取り組みについてご紹介いたします。

ポイント

2025年は初診患者数および採卵件数が共に微増となりました。胚移植あたりの臨床的妊娠率は46.4%→50.4%へ上昇し、流産率は24.6%→21.4%へ低下しました。その結果、胚移植件数は前年と比べて約2割減少しました。

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妊娠成績について

内容

当院の2024年と2025年の成績を同一の定義で比較したものです。臨床的妊娠は超音波で胎囊を確認した妊娠、流産率は臨床的妊娠あたりの22週未満の流産、継続妊娠率は胎児心拍を確認し流産せずに継続した妊娠の割合と定義しています。なお、これらはいずれもPGT(着床前遺伝学的検査)を実施していない通常の胚移植の成績です。

一般不妊治療の累積成績は、タイミング指導の臨床的妊娠率は8.2%→8.4%、人工授精は7.4%→7.5%、体外受精胚移植は43.7%→44.6%と、いずれも小幅な上昇にとどまりました。

体外受精の採卵周期は1,040周期→1,123周期へ増加し、卵巣刺激法ではPPOS法が152周期→215周期へ増加しました。採卵1回あたりの有効胚数は34歳以下で3.6個→3.3個、35〜39歳で2.3個→1.9個とやや減少したものの、受精方法では媒精(IVF)の割合が28.1%→34.2%へ増え、IVF正常受精率は62.1%→72.6%へ改善しました。顕微授精(ICSI)84.6%との差は22.4ポイント→12.0ポイントに縮小しました。一方で良好胚盤胞率はIVF:37.2%→35.7%、ICSI:33.5%→30.2%とやや低下しました。

最も大きな変化がみられたのは胚移植成績です。胚移植数は1,182周期→947周期へ減少した一方で、胚移植あたりの臨床的妊娠率は46.4%→50.4%へ上昇し、継続妊娠率は35.5%→39.5%へ向上しました。さらに、流産率は24.6%→21.4%へ低下しており、より少ない胚移植回数で妊娠・継続妊娠に到達できる結果となりました。 また、年齢別の臨床的妊娠率は34歳以下57.4%→62.2%、35〜39歳45.4%→52.2%、40〜42歳32.2%→40.3%、43歳以上11.6%→23.2%とすべての年齢区分で改善しました。単一胚移植は75.1%→83.2%へ増加し、2個胚移植は24.5%→16.6%へ減少しました。移植周期はホルモン調整周期55.3%、自然排卵周期41.3%、新鮮胚周期3.4%でした。当院の標準である単一凍結融解胚盤胞移植の臨床的妊娠率は全年齢で51.1%→52.3%、40〜42歳で33.3%→41.1%でした。

私見

2025年は、初診患者数、採卵数が増加した一方で、胚移植あたりの妊娠率が上昇し移植件数を2割減らすことができたことは我々としては満足する結果となりました。
データから特に注目しているのは二つの点です。第一に、2個胚移植の割合が減ったにもかかわらず妊娠率が上がった点、第二に、IVF正常受精率が改善によってICSIの割合を減らせた点です。いずれも、必要以上のアドオンを増やさないという当院の方針が反映された成果ではないかと考えています。

2025年から開始した大きな変更点は、qPCRパネルを含めた子宮内細菌叢評価と腟内評価の導入、ならびに胚移植手技の徹底的な見直しです。これらが、どのように成績に寄与したかはこれから検証したいと思います。
また、2026年から取り組んでいる卵巣刺激の患者さまごとの個別化・負荷軽減、内膜調整法の多様化、人工授精手技の見直しは、2年計画で検証を進め、その成果を評価していく予定です。
2025年は医療法人社団亀田会としての新たなスタートに加え、診療体制の変更がありましたが、年間を通じた成績に不連続性は認められませんでした。これは、医師だけではなく、培養室と看護・カウンセリング体制を含むチーム全体が安定した医療を提供できた結果だと考えています。日々支えてくれているスタッフ、そして当院を選び、信頼して治療を受けてくださる患者さまには、心から感謝申しあげます。

今後も表参道ARTクリニックとの連携や生成AIを活用した診療支援導入を行いながら、安全性と満足度の向上を図り、成績を1ポイントでも着実に改善していくことが、私たちの使命だと考えています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 凍結融解胚移植

# 年齢素因

# 胚移植(ET)

# PP(PPOS)

# 媒精(IVF)

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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