はじめに
排卵周期凍結融解胚盤胞移植は排卵をしてから5日目に行うことが一般的です。では排卵をどのような基準として0日としたらいいのでしょうか。基本はプロゲステロン値が一般指標だと考えられています。その二次的なサポートモニターとして尿中LH、血清LH、エストラジオール値、超音波モニタリングがあるというイメージです。
排卵周期凍結融解胚移植を行う際の卵胞発育超音波モニタリングと連続ホルモン採血の結果から、LH上昇とプロゲステロン上昇のズレが一定かどうか調査した報告をご紹介いたします。
ポイント
LH上昇だけではプロゲステロン上昇の詳細な時期がわからなさそうです。ただし、着床の窓は一定期間あるため、これらの違いが生殖医療成績に影響を与えているかどうかは不明です。
引用文献
Carol Coughlan, et al. Reprod Biol Endocrinol. 2023 May 18;21(1):47. doi: 10.1186/s12958-023-01096-4.
論文内容
自然周期で凍結胚移植のために超音波検査と内分泌モニタリングを受けた女性102名を含む後ろ向きコホート研究です。血清プロゲステロン値が1ng/mlを超えたと定義された排卵日まで、血清LH、エストラジオール、プロゲステロン(P4)値を連続3日間測定しました。
結果
- プロゲステロン上昇2日前にLH上昇した症例21名(20.6%)
- プロゲステロン上昇1日前にLH上昇した症例71名(69.6%)
- プロゲステロン上昇当日にLH上昇した症例10名(9.8%)
P4上昇2日前にLH上昇した女性は、P4上昇同日LH上昇した女性に比べて、BMIが高く、血清AMH値が低い結果でした。
症例基準
- 2017年1月1日から2021年8月31日
- 年齢18歳~43歳
- 月経周期26日~34日 整
- BMI 18~35
自然周期のモニタリング
- Dominant follicle 14mm以上が確認された時点から、血清LH、FSH、エストラジオールおよびプロゲステロン値の連続測定を開始
- LHサージは、直近値より180%上昇し、上昇を続けた時点を開始と定義
- プロゲステロン濃度1.0ng/ml以上を排卵(P+0)
- 血液検体はすべて午前9時から12時に採取
私見
彼らのグループは卵巣刺激に関しても採血時間、注射を打つ時間などを統一している施設ですので、血清ホルモン評価の信頼性は高いです。
あとは何がLHサージの決め手かですね。考察にも記載されていますが、ベースラインLH値から1.8倍から6倍までの様々な値が使用されていますし、LHサージの絶対値も10-20mIU/mlまでさまざまです。この論文をみれば過去のリファレンスはしっかりチェックすることが可能です。
2023年にLancetに排卵周期凍結融解胚移植の在宅モニターの可能性(Lancet. 2023)
が報告されていますが、やはり、詳細に客観指標で治療方針を詰めていく場合には血清プロゲステロン値がLH値より有効だと判断しています。
文責:川井清考(WFC group CEO)
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