治療予後・その他

2024.05.24

妊娠中の身体活動・座位時間は胎盤形態に変化を与える(Hum Reprod. 2024)

はじめに

母体の代謝や内分泌の状態に異常がある妊娠では、胎盤は胎児の成長期や一過性の胎盤や胎児の酸素不足に対応して十分な酸素供給を維持するために、その構造や機能に代償的な変化を起こす可能性があります。 
これらを身体活動と座位時間が胎盤形態に影響をあたえるかどうかを検討した報告をご紹介いたします。 

ポイント

母体の身体活動と座っている時間が高いほど、胎盤血管を増やさなくても、胎児への酸素供給のための胎盤表面積の代用指標である絨毛密度が高くなることがわかりました。 

引用文献

Saghi Zafaranieh, et al.  Hum Reprod. 2024 May 10:deae090.  doi: 10.1093/humrep/deae090. 

論文内容

妊娠糖尿病予防のためのビタミンDとライフスタイル介入(DALI)ランダム化比較試験の二次縦断的解析です。この前向き試験は2012年から2015年にかけて、欧州9ヵ国11施設で実施されました。BMI≧29の妊婦92名を1コホートにまとめました。妊娠中の身体活動(MVPA)および座って過ごした時間の割合(%ST)を加速度計で測定しました。胎盤切片を内皮細胞特異的CD34免疫染色しました。AIベースのステレオロジーにより、絨毛の密度、数、血管の断面積を、全スライド画像と、血管適応の大部分が起こる末梢絨毛のみからなる選択領域で評価しました。血管新生促進因子および抗血管新生因子の発現は分子計数分析を用いて定量化しました。 

結果

多変量回帰では、母親の身体活動レベル(MPVA:分/日)が高いほど、全スライド画像(β0.12;95%CI 0.05、0.2)および選択領域(0.17;CI 0.07、0.26)の両方で絨毛密度が高いことと関連していました。ただし、ST時間は絨毛密度と正の相関を示しました(0.23;CI 0.04, 0.43)。MVPAとSTは、血管数/mm2絨毛面積、血管面積、血管新生促進因子および抗血管新生促進因子のmRNA発現とは関連しませんでした。喫煙者、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群を除外した感度分析のすべての推定値および統計的有意性は、主解析と同様でした。 

私見

身体活動において胎盤変化が変わるのは分かりましたが、どのような身体活動が妊娠生活によいのかは別問題です。胎盤形成を一つの指標としたstudyが体外受精領域でももっと組まれてもよいのかもしれません。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 生活習慣

# 胎盤異常

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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