体外受精

2026.03.09

RIF女性への盲目的胚移植前腟内プロバイオティクス投与は妊娠率を改善しない(Int J Reprod BioMed. 2024)

はじめに

細菌叢の不均衡(dysbiosis)は病原性細菌の増殖を招き、慢性炎症により子宮内膜受容能と胚生存を障害し、着床を妨げる可能性があります。RIF女性における凍結融解胚移植前の腟内プロバイオティクス投与が妊娠率と腟内Lactobacillus菌叢状態に及ぼす影響を評価したランダム化比較試験です。

ポイント

反復着床不全女性における凍結融解胚移植前のブラインド腟内プロバイオティクス投与は、妊娠率を有意に改善しませんでした。

引用文献

Naghi Jafarabadi M, et al. Int J Reprod BioMed. 2024; 22: 363-374. doi: 10.18502/ijrm.v22i5.16435.

論文内容

RIF女性における凍結融解胚移植(FET)前の腟内プロバイオティクス投与が妊娠率と腟内Lactobacillus菌叢状態に及ぼす影響を評価することを目的としたランダム化比較試験です。2021年1月から2022年9月にイランの不妊クリニックで実施されました。原因不明のRIF既往歴を有する生殖年齢女性166名を、プロバイオティクス群または対照群に無作為に割り付けました(各群n=83)。プロバイオティクス群は月経周期2日目から2週間、FETの通常治療とともに腟内プロバイオティクス(LactoVag®:Lactobacillus rhamnosus、L. plantarum、L. acidophilus、L. gasseri、プレバイオティクスとしてマルトデキストリンを含有、10⁹ CFU)を1日1回投与されました。対照群はFETの通常治療のみを受けました。主要評価項目は生化学的妊娠率で、副次評価項目は臨床妊娠率と腟内Lactobacillus菌叢状態(胚移植前に後腟円蓋から採取した検体をグラム染色し、光学顕微鏡で陽性・陰性を判定)でした。

結果

最終解析には163名の参加者が含まれました。プロバイオティクス群は対照群と比較してわずかに高い生化学的妊娠率を示しましたが(39.02% vs. 33.33%)、その差は統計学的に有意ではありませんでした(RR: 1.71, 95%CI: 0.77-1.76; p=0.449)。臨床妊娠率もプロバイオティクス群で対照群より有意ではないものの高い傾向を示しました(37.80% vs. 33.33%; RR: 1.14, 95%CI: 0.76-1.74; p=0.623)。プロバイオティクス群は対照群と比較してLactobacillus陽性状態を示す参加者の割合が有意に高くなりました(62.90% vs. 37.10%, p=0.011)。プロバイオティクスを投与されLactobacillus陽性状態であった参加者で妊娠率が最も高かったものの(42.5%)、これらの差は統計学的に有意ではありませんでした。

私見

腟内プロバイオティクスが妊娠率に影響を及ぼさないとした先行研究(Gilboa Y, et al. Reprod Biomed Online. 2005)はRCTではあるものの新鮮胚移植であり腟内プロバイオティクス投与期間が短いので現在での腟内プロバイオティクスの使用方法とやや異なります。
今回、2週間近い腟内プロバイオティクス使用をもっても、検査をせずに投与をした場合は生殖成績に差がなかったことがわかります。ただ、有意差があいものの、偶然かもわかりませんが生殖医療結果が良好な結果をしめしている傾向にあるので、ブラインドで使用するならRIFになる前なのかなと感じています。RIFは多々の原因がありますから、やはりブラインドで行うより異常に対して介入していくことが好ましいと感じています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

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WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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