媒精(in vitro fertilization; IVF)は体外受精の受精(卵子と精子を出合せる=卵子の中に精子が入って、卵子と精子の核が融合する)に使われる技術の一つで、よく、「アイブイエフ」とか「振りかけ」と呼ばれています。
このコラムでは媒精を動画とアニメーションで分かりやすく解説したいと思います。媒精は簡単に言うと「精子に自分の力で卵子の中に入ってもらう方法」になります。
受精前の卵子はこんな構造をしています。
卵子の回りはゼリー状の殻(透明帯)に包まれていて、透明帯の回りは小さい粒々の細胞(卵丘細胞)に取り囲まれており、ぱっと見、「卵子+透明帯+卵丘細胞」の三層構造になっています。

媒精をするときは卵子が入っている培養液(卵子が安定して存在し、受精が成立するために必要な成分を含む液体)の中に下のイラストのように、オートピペット(精密なスポイトのようなもの)を使って決められた数の精子を入れます。

こちらの動画は実際に媒精をしている様子になります。
シャーレの培養液の中に卵丘細胞に覆われた2個の卵子(白くてフワッとした塊)が入っています。培養液の中にオートピペットを使ってシャーレの中、卵子がないところに精子を出します。
こちらの動画は精子を培養液の中に入れた後、卵子にピントを合わせて拡大した様子になります。始めはシャーレの底を泳いでいる精子にピントに合っています。その後、徐々に卵丘細胞に覆われた卵子にピントが合っていきます。卵子の回りの卵丘細胞をよく見ると、隙間に精子が入り込んでいるのが見えます。卵丘細胞は卵子を呼び寄せるフェロモンのようなもの(ヒアルロン酸やケモカイン様物質)を出しており、これらが精子の進む方向を誘導していると考えられます。
こちらのアニメーションは精子が卵丘細胞と透明帯を通過する様子を示しています。精子の頭の部分(頭部)が卵丘細胞に触れると、精子の頭部から卵丘細胞を溶かす酵素(アクロシンなど)が出て、精子はこの酵素を使って卵丘細胞を分解して卵子へ向かっていきます。卵丘細胞のエリアを通過して透明帯までやってきます。この透明帯も精子の頭部から出た酵素で、透明帯を分解して、透明帯のエリアを通過して、そのまま卵子表面の膜と融合して卵子の中に入り込みます。
今回は体外受精の受精方法の一つである媒精について解説しました。媒精がどんな技術なのか知って頂けると嬉しいです。
文責:平岡謙一郎(亀田IVFクリニック幕張 生殖補助医療管理胚培養士)
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