体外受精

2023.02.22

凍結/新鮮単一胚盤胞移植の成績は?(Fertil Steril. 2023)

はじめに

コクランレビューでは下記のような結果となっています。
Tjitske Zaat, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021 Feb 4;2(2):CD011184. 

「全胚凍結戦略」=「新鮮胚移植実施戦略」
累積出生率(OR 1.08、95%CI 0.95~1.22、I²=0%、8件のRCT、4712人の女性) 

「新鮮胚移植実施戦略」>「全胚凍結戦略」
OHSS発症(OR 0.26、95%CI 0.17~0.39、I²=0%、6つのRCT、4478人の女性) 

「全胚凍結戦略」>「新鮮胚移植実施戦略」
妊娠高血圧症候群(Peto OR 2.15、95%CI 1.42~3.25、I²=29%、3件のRCT、3940人の女性)
LGA(Peto OR 1.96、95%CI 1.51~2.55;I²=0%;3件のRCT、3940人の女性)
出生児体重の増加(平均差(MD)127g、95%CI 77.1~177.8;I²=0%;5件のRCT、1607人の単胎児)
結融解/新鮮単一胚盤胞移植の成績は同等?(Lancet. 2019) 

では、凍結単一胚盤胞移植が新鮮単一胚盤胞移植より単胎出生率は高くなりましたが、違う観点から比較検討した報告をご紹介いたします。 

ポイント

予後良好と考えられる新鮮単一胚盤胞移植と凍結単一胚盤胞移植の後ろ向きコホート研究において単胎出生率に差は認められませんでした。 

引用文献

Marissa Steinberg Weiss, et al. Fertil Steril. 2023 Feb;119(2):186-194. doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.10.021. 

論文内容

National Assisted Reproductive Technology Surveillance Systemのデータを用いた後ろ向きコホート研究です。 

2016-2017年に初回体外受精を実施し4個以上の有効胚が獲得できた20-35歳の女性44,750人の新鮮単一胚移植と凍結単一胚移植の成績を比較検討しました。主要評価項目は単胎出生率、副次評価項目は総出生率(単胎+多胎)、双胎出生率、臨床妊娠、流産、生化学的妊娠、異所性妊娠としました。出産児評価として、分娩時週数、出生時体重、SGA率を検討しました。 

結果 

新鮮単一胚盤胞移植6,324例、凍結単一胚盤胞移植2,318例が適格基準を満たしました。新鮮胚移植と凍結胚移植を受けた患者の平均年齢(30.69±0.08歳 vs. 31.06±0.08歳)、BMI(24.76±0.20 vs. 25.65±0.15)は同等でしたが、凍結単一胚盤胞移植を行った女性はより多くの胚(8.1±0.12 vs. 6.8±0.08)を凍結していました。新鮮単一胚盤胞移植と凍結単一胚盤胞移植の単胎出生率は51.4% vs. 48.8%でした(RR 1.05;95% CI 1.00-1.10)。対数線形回帰モデルと傾向スコア分析による交絡因子調整後も、単胎出生率の差はありませんでした(aRR 1.05;95% CI 0.97-1.14 および aRR 1.02;95% CI 0.96-1.08それぞれ)。新しいdynamicalモデルでも差がありませんでした(OR 1.23;95%CI 0.78-1.95)。 

私見

この研究はGnRHアンタゴニスト法(男性因子40-44%、卵管因子16%、total FSH 2600単位相当で17±3個程度の回収卵)の解析です。Non-Hispanic whiteが多く、Asianが少なくなっています。やはり、凍結/新鮮単一胚盤胞移植の成績に影響を与える因子があるはずなのですが、どの論文を読んでもcontroversialな結果・議論となっています。こうなると、自施設のデータとEBMをふまえて治療提供していくのがよいのかなと感じています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 胚盤胞

# 出生児予後

# 新鮮胚移植

# 凍結融解胚移植

# 総説、RCT、メタアナリシス

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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