はじめに
排卵周期凍結融解胚移植は黄体補充が効果的かどうか検証した新しいメタアナリシスをご紹介します。
最近2本のメタアナリシスは以下の通りです。
①Aeran Seol, et al. Clin Exp Reprod Med. 2020 Jun;47(2):147-152. doi: 10.5653/cerm.2019.03132.
- hCG投与では生殖医療成績に寄与しない
- プロゲステロン膣剤は出生率の増加につながるが妊娠率には影響しない
②Yossi Mizrachi, et al. Hum Reprod Update. 2021 Jun 22;27(4):643-650. doi: 10.1093/humupd/dmab011.
- hCG投与では生殖医療成績に寄与しない
- プロゲステロン膣剤は出生率・妊娠率の増加につながる
排卵周期凍結融解胚移植に黄体補充は有効?( Hum Reprod Update. 2021)
ポイント
排卵周期凍結融解胚移植におけるプロゲステロンによる黄体補充は、出生率と臨床妊娠率の増加に効果的です。ただし、hCGトリガーを実施した排卵周期凍結融解胚移植に関しては有効性を示すことはできませんでした。
引用文献
Yanbiao Jiang, et al. Fertil Steril. 2022 Dec 24;S0015-0282(22)02127-6. doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.12.035.
論文内容
PubMed, Ovid-Embase, Cochrane Library, Web of Science, CNKI, Wanfang, VIP, CBMを創刊から2022年9月まで文献的検索を実施しました。排卵周期凍結融解胚移植周期で黄体補充にプロゲステロンを使用したRCTを対象とし、相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を検討しました。主要評価項目は出生率と臨床妊娠率、副次評価項目は流産率としました。
結果
4RCT(1116人)を対象としメタアナリシスを実施した結果、プロゲステロン補充は排卵周期凍結融解胚移植を受ける患者における出生率(RR 1.42, 95% CI 1.15-1.75, I2 = 0%)および臨床妊娠率(RR 1.30, 95% CI 1.07-1.57, I2 = 0%)の増加と関連することが明らかになりました。サブグループ解析では、プロゲステロン補充は完全自然排卵周期凍結融解胚移植におけるより高い出生率と臨床妊娠率と関連することが示されました。しかしながら、hCGトリガーを実施した排卵周期凍結融解胚移植における出生率と臨床妊娠率の増加との関連はありませんでした。1RCTのみが経口ジドロゲステロンとプロゲステロン膣ゲルで比較していますが、hCGトリガーを実施した排卵周期凍結融解胚移植周期において出生率と臨床妊娠率に差を認めませんでした。
| 報告者 | 報告年 | 症例数 | デザイン | hCGトリガー | 投与日 | 投与方法 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Bjuresten, et al. | 2011 | 435 | RCT | なし | 胚移植日から | P腟剤400mg 2回/日 |
| Horowitz, et al. | 2020 | 59 | RCT | あり | hCG2日後から妊娠8週まで | P 腟剤100mg 2回/日 |
| Ozer, et al. | 2021 | 134 | RCT | あり | hCG36時間後から妊娠12週まで | P 腟ゲル/日 |
| Wanggren, et al. | 2022 | 488 | RCT | なし | 早朝LH陽性となった日から妊娠8週まで | P 腟剤100mg 2回/日 |
私見
排卵周期で黄体補充を行うメリットは排卵周期で生じうる黄体機能不全の是正だと思います。黄体ホルモンをある程度一定に保つことで子宮内膜胚受容能の非同期の抑制、免疫調節作用(Th2優位のサイトカイン環境誘導、炎症性免疫反応の減少)に役立つと考えられます。
Wanggrenらの論文は下記で取り上げています。
排卵周期凍結融解胚移植の黄体補充は成績に寄与する?(Hum Reprod. 2022)
文責:川井清考(WFC group CEO)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。