プレコンセプションケア

2024.01.19

男性妊活では高尿酸血症も要注意!

研究の紹介

男性の高尿酸血症はIVF-ETでの治療成績不良と関連する  

Male Hyperuricemia Is Associated with Poor Reproductive Outcomes of IVF-ET  

Wu Y, 他. Andrologia 2024, Article ID 3923652, 9 pages  
https://doi.org/10.1155/2024/3923652

食生活が豊かになった現代において、高尿酸血症は多くの方に認められます。我々の男性不妊外来受診者の検討では高尿酸血症は7.3%に認めましたが(Komiya A, et al, Heliyon 2023)、20歳代の3割程度に認めるというデータもあります(She D, et al, 2022)。高尿酸血症により精液所見が悪化したり、酸化ストレスの上昇、テストステロンの低下などが起こると報告されています(Ma J. et al., 2022)。しかしながら、ARTの成績にどのような影響を及ぼすのかわかっていません。この点について検討した研究です。  

研究の要旨 

この研究の目的は、男性の高尿酸血症が体外受精-胚移植(IVF-ET)の治療成績に影響を与えるかどうかを調べることです。IVF-ETの初回サイクルの治療を受けた412組のカップルの臨床データを分析しました。男性の血清尿酸(serum uric acid, SUA)値により、対照群(SUA≦416μmol/L)と高尿酸血症群(SUA>416μmol/L)に分けました。一次および二次的評価項目は、新鮮胚移植後の妊娠転帰および体外受精後の胚発生としました。ロジスティック回帰分析を用いて、男性SUAと妊娠転帰との関係を解析しました。新鮮胚移植後の化学流産率(biochemical pregnancy loss rate, BPLR)に対する男性SUAの影響のROC曲線を描きました。  

結果:  

高尿酸血症群のBPLRは対照群より有意に上昇し(対照群 対 高尿酸血症群; 4.7% vs 31.6%, P=0.0012)、臨床妊娠率および生児獲得率は有意に低値でした(61.5% vs 39.4%, P=0.038 ; 56.9% vs 33.3%, P=0.0027)。ロジスティック回帰分析の結果、新鮮胚移植後のBPLRは男性SUAと正の相関を示しました[OR = 1.010, 95% CI (1.002, 1.018)]。ROC曲線下面積は0.784、特異度は53.7%、感度は100.0%でした。さらに、高尿酸血症群の全受精率および2PN率は、対照群の受精率(86.0% vs 81.6%, P=0.0001 ; 75.0% vs 69.6%, P<0.001)に比べて有意に低い結果でした。  

結論としては、男性パートナーの高尿酸血症は新鮮胚移植後のBPLRを上昇させる独立した危険因子であり、体外受精の全受精率および2PN率も低下させる可能性があるということになります。  

筆者の意見 

日常診療で高尿酸血症の患者さんに対しては食事指導をしたり、薬物療法を行なってきました。この研究の症例は精液検査所見が良好の症例が多かったのですが、そのような場合でもARTの成績に影響を及ぼしていました。ですので、今後はより積極的に介入する必要があると感じました。ただ、凍結胚移植を行うのが標準的なのでその場合どうなのか気になるところです。
高尿酸血症が不妊の男性因子となる機序について、尿酸は抗酸化物質なのですが、高尿酸血症だと逆に精液中の尿酸が低下して酸化ストレスが上昇してしまうようです(Ma J. et al., 2022)。ラットを用いた基礎的研究がおなじ2024年のAndrologia(https://doi.org/10.1155/2024/6084885)に掲載されていました。高尿酸血症は、亜鉛ホメオスタシスの不均衡と酸化ストレスを誘発することによって、雄ラットの血液精巣バリアの破壊、テストステロン合成障害、精子数と運動率の低下を引き起こす可能性がある、ということでした。本研究では精子DNA断片化率や精液の酸化還元電位の評価はされていませんでしたので、今後の研究の発展が待たれます。  

文責:小宮顕(亀田総合病院 泌尿器科部長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 胚移植(ET)

# 生活習慣

# 媒精(IVF)

亀田総合病院 泌尿器科部長

小宮 顕

亀田総合病院 泌尿器科部長(男性不妊担当) 生殖医療専門医・生殖医療指導医。男性不妊診療を専門的に従事する。本コラムでは男性妊活の参考になる話題を紹介している。

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