一般不妊

2022.03.17

子宮卵管造影と超音波子宮卵管造影法の妊娠率への違い(Hum Reprod. 2022)

はじめに

ヨーロッパでは子宮卵管造影は卵管疎通性を確認する検査という位置付けから、卵管疎通性がある女性に関しては卵管疎通性を良くするフラッシング効果を含めた治療の一環として行われることもあります。では子宮卵管造影(HSG法:hysterosalpingography)と超音波子宮卵管造影法(HyFoSy法: hysterosalpingo-foam sonography)の卵管フラッシング後の妊娠率はどうでしょうか。こちらを検討した論文をご紹介いたします。 

ポイント

オランダの多施設研究でHyFoSy法とHSG法の妊娠率を比較した結果、両検査に基づく治療方針は同等の妊娠率を示しました。HyFoSy法は痛みが少ない傾向があり、経験豊富な医師が実施すれば再検査なしでも治療方針を進められることが示されました。 

引用文献

Nienke van Welie, et al. Hum Reprod. 2022. DOI: 10.1093/humrep/deac034

論文内容

オランダの26病院で実施された18歳から41歳の不妊女性を対象とした無作為化デザインの多施設前向き比較研究です。参加女性はHyFoSy法とHSG法の両方を無作為化された順番で受けました。結果が一致しない場合、女性は結果に基づく治療方法を行いました。HyFoSy法とHSG法の比較は、intention-to-treat解析において12ヶ月以内に生児出産に至る継続妊娠率としました。 

結果

2015年5月から2019年1月に、1,026名の女性がHyFoSyとHSGを受けました。HyFoSy法は97名(9.5%)、HSG法は30名(2.9%)、両方の検査で9名(0.9%)は検査結果が不明瞭でした。747名(73%)は検査結果が一致しました。HyFoSy法の結果に基づく臨床管理は、1,026名中474名(46%)が継続妊娠したのに対して、HSG法の結果に基づく管理は1,026名中486名(47%)が継続妊娠につながると推定されました(差1.2%、95%CI:-3.4%~1.5%)。HyFoSy法のHSG法に対する統計的に非劣性は証明されませんでした(P = 0.27)。ペインスケールではHyFoSy法の平均スコアは3.1(SD 2.2)、HSG法の平均スコアは5.4(SD 2.5)とHyFoSy法は痛みが少ない結果となりました。 

卵管疎通性検査のHyFoSy法またはHSG法のいずれかの結果に基づいて治療方針を決定しても同様の妊娠率が担保されることが証明されました。 

私見

今回のHyFoSy法では国内のように生理食塩水と気泡ではなく、5ccのExEm-gel®と5ccの滅菌精製水でつくった泡で検討しています。5分間は泡が消えないので日本で行われているHyFoSy法より診断率が高いと考えられます。 

この研究は、不妊女性においてHyFoSy法またはHSG法のどちらの結果を信用して治療方針を立てたとしても、同様の妊娠結果をもたらすことが証明されました。疼痛に関してはHyFoSy法の方が少ない傾向がありました。妊娠結果は33歳前後の女性で運動精子数が5,000万前後いる不妊カップルに実施しています。 

外来を実施していると、卵管通水検査しかされていないので再度HSG法を検討してほしいという意見があります。経験豊富な医師が提供したHyFoSy法であれば再検査をしなくても治療方針を当初の予定通り進めても問題ないことが奨励される結果だと思います。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 卵管疎通性検査、HSG

# 総説、RCT、メタアナリシス

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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