はじめに
GnRHアンタゴニスト法は当院での一般的な刺激法となります。過去にもTipsなどを取り上げています。
– ロング法とアンタゴニスト法の違い(論文紹介)
– GnRHアンタゴニスト法を考える(fixed法?flexible法?)
– GnRHアンタゴニスト法を考える(早発LHサージ)
– GnRHアンタゴニスト法を考える(早期黄体化)
– GnRHアンタゴニスト法の治療オプション(meta-analysis)
早発LHサージのリスク因子について記載させていただきます。
ポイント
卵巣予備能低下患者はGnRHアンタゴニスト投与中でも早発LHサージを起こすリスクがあります。
引用文献
David E Reichman, et al. Fertil Steril. 2014 Jul;102(1):99–102. doi: 10.1016/j.fertnstert.2014.04.010.
論文内容
GnRHアンタゴニスト周期中の早発LHサージが起こるリスク因子を同定することを目的としたケースコントロール研究です。
2004年8月から2012年7月に、GnRHアンタゴニスト・フレキシブルプロトコルを実施した患者です。主要評価項目は、早発LH上昇(ベースラインから2.5倍以上の増加で17mIU/mL以上)としました。
結果
10,809件のGnRHアンタゴニスト周期のうち、早発LHサージ発生率は37件(0.34%)でした。早発LHサージ症例は高齢で、FSHが有意に高く、胞状卵胞数が減少していました。年齢をマッチングした対照群(割合1:50)と比較しても、卵巣予備能に違いがありました。
私見
LH上昇の他のリスク因子で気になるポイントを記載いたします。
– 患者年齢が高いこと
– 妊娠歴、出産歴、BMI、過去のIVF周期数、または刺激前の黄体期前処理に関しては有意差なし
– ゴナドトロピン使用量、総ゴナドトロピン使用量も共に高い
– 刺激期間:早発LHサージは平均して刺激11日目(11.6 ± 2.7日)に発生し、これは対照群のhCGトリガー日(8.6 ± 3.8日)より約3日遅いタイミング(P<0.0001)
– アンタゴニスト投与期間:有意差なし
何本か早発LHサージに関する報告を取り上げていますが、やはり傾向は一緒ですね。
文責:川井清考(WFC group CEO)
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