一般不妊

2024.04.15

HyFoSy法とHSG法の費用対効果(Hum Reprod. 2024)

はじめに

HSGでは、ヨード造影剤を子宮腔内に注入すること、X線上に可視化することにより侵襲性がゼロではありませんが、何十年もの間、卵管疎通性検査の第一選択とされています(NICE, 2013; ASRM, 2020)。より侵襲性が低いことを求めて、HyFoSy法(超音波子宮卵管造影法)が行われるようになってきました。
2022年に報告されたRCT試験(FOAM trial)では、HyFoSy法に基づく管理決定は、HSG法と比較して12ヵ月後の出生率が同等であることが示されています(46%対47%;差-1.2%、95%CI:-3.4%〜1.5%;P = 0.27)
子宮卵管造影と超音波子宮卵管造影法の妊娠率への違い(Hum Reprod. 2022)
FOAM trialと並行して実施した、HyFoSy法とHSG法による卵管疎通性検査の費用対効果分析をご紹介します。 

ポイント

HyFoSy法に基づく管理決定は、HSG法に基づいた管理と比較して、統計学的に有意ではないものの、出生率がわずかに低く、費用も低いです。 

引用文献

Danah Kamphuis, et al. Hum Reprod. 2024 Apr 10:deae071. doi: 10.1093/humrep/deae071. 

論文内容

オランダで実施された無作為化多施設研究であるFOAM trialと並行して経済評価を行いました。参加女性1,160名(18~41歳)は、HyFoSy法とHSG法の両方を無作為の順序で受けました。両検査の結果が比較され、検査結果が不一致であった女性には、どちらか一方の検査結果に基づいて無作為に管理方法が割り付けられました。追跡期間は12ヵ月としました。経済評価では、12ヵ月以内にどちらかの検査に基づく管理の費用と効果をintention to treat法にて増分費用対効果比(ICER)を算出し比較しました。 

結果 

2015年5月から2019年1月に、1,160名のうち1,026名が両卵管疎通性検査を受けました。結果が一致した女性747名(48%が生児出産)、結論が出なかった女性136名(40%が生児出産)、結果が一致しなかった女性143名(HyFoSy法の結果に基づく管理後の生児出産は41%であったのに対し、HSG法の結果に基づく管理後の生児出産は49%)でした。推定された生児出産の可能性はHyFoSy法管理では46%に対しHSG法管理では47%でした(差-1.2%;95%CI:-3.4%から1.5%)。手術費用は、HyFoSy法が136ユーロ、HSG法が280ユーロでした。追加の不妊治療の費用を加味すると、1組あたりの平均総費用はHyFoSy法管理で3,307ユーロ、HSG法管理で3,427ユーロでした(平均差は119ユーロ、95%CI:125〜114ユーロ)。ICERは10,042ユーロであり、これはHSGの代わりにHyFoSyを使用することで、失われた出生児1人当たり10,042ユーロの節約になることを意味します。 

私見

卵管疎通性検査結果に基づく管理について、下記のように記載されています。
「少なくとも1つの卵管開存を有する女性では、Hunaultモデルに基づき、最低6ヵ月の自己妊活または人工授精。6回の人工授精不成功の後、女性には体外受精。両側卵管閉塞の女性には、体外受精か、あるいは卵管閉塞を確認するために診断的腹腔鏡検査を行い閉塞が確認されれば体外受精。」対象患者は人工授精可能と判断される運動精子がいる男性パートナーがおり、子宮内膜症がなく、難治性排卵障害がない人とされています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

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WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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