体外受精

2024.06.12

鍼灸治療の反復着床不全患者への効果(J Assist Reprod Genet. 2024)

はじめに

鍼灸治療は、結果が出ない方で治療と併せて実施されていらっしゃる方、多いですよね。妊娠前の不安を軽減することができるとされていますが、臨床結果にどのように作用するかはイマイチ不明瞭なことが多いと感じています。
複数回の鍼灸治療が生殖医療成績に効果的という報告(Dehghani AS, et al. Int J Reprod Biomed. 2020、Hullender Rubin LE, et al. Acupunct Med. 2018)は複数でてきていますが、「本当に効くの?」という意見も耳にします。
私自身、鍼灸に反対派ではありませんが、安い介入ではないため患者様を選んで推奨したいなと常々感じています。
GnRHアゴニスト併用療法下鍼灸治療の反復着床不全患者への効果を示した報告をご紹介いたします。

ポイント

GnRHアゴニスト併用療法下鍼灸治療は反復着床不全患者にて、子宮の状態を改善し胚移植成績改善効果が期待できる症例がありそうです。
胚移植の推奨事項(ASRM2017)
では、鍼灸はエビデンスレベルでは着床率改善に寄与しないことになっています。

引用文献

Jingya Yang, et al. J Assist Reprod Genet. 2024 Jun 7. doi: 10.1007/s10815-024-03140-7.

論文内容

体外受精において反復着床不全(3回4胚以上の胚移植で臨床妊娠に至っていない状況)である25-40歳女性を対象に、GnRHアゴニスト併用療法下鍼灸治療の効果を検討しました。反復着床不全患者164名を対象としてリクルートし、対照群(従来のホルモン調整周期凍結融解胚移植)と介入群(ホルモン調整周期凍結融解胚移植前にGnRHアゴニスト併用療法下鍼灸治療を実施)に分け、子宮内膜厚、子宮内膜形態分類、submucosal子宮血流分類、臨床的妊娠率、胚着床率、移植周期ごとの妊娠初期流産率を2群間で比較しました。

結果

移植1日前の子宮内膜厚は対照群より介入群の方が高くなりました。Triplet line子宮内膜(A+B型)を有する患者は対照群よりも介入群の方が多くなりました。また、submucosal子宮血流分類において、対照群に比べ介入群ではI型が減少し、III型が増加しました。臨床的妊娠率および胚着床率は、対照群より介入群の方が高くなりました。

私見

内膜の見え方が綺麗ではない、血流が悪そう、内膜厚が薄そうな方には、GnRHアゴニスト併用療法下鍼灸治療が期待できる層の患者様がいるのかもしれません。
今回の鍼灸は1ヶ月半程度週2回実施しています。
内膜評価には古典的ですが、Gonen and Casper endometrial morphological classification criteria(J In Vitro Fert Embryo Transf. 1990)、the Applebaum classification method(Ultrasound Obstet Gynecol. 1995)を用いており、客観性の担保はやや怪しいと感じています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# GnRHアンタゴニスト

# 子宮内膜厚、形態

# 反復着床不全(RIF)

# 凍結融解胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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