一般不妊

2021.01.05

卵巣予備能(AFC、AMH)のメリット・デメリット

はじめに

理想的な卵巣予備能検査は、周期間および周期内の変動が少なく再現性があり、高い特異性を示すことです。代表的な卵巣予備能検査であるAFCとAMHはどちらも良好な予測値を有しています。AFCとAMHの結果が不一致の患者では、AMHの方が卵巣予備能のより良い予測因子であることが示されていますが、実際はどうなんでしょう。 
今回のブログでは、AFC(胞状卵胞数)とAMHのメリット・デメリットをご説明させていただきます。 

ポイント

AFCとAMHは代表的な卵巣予備能検査です。AFCは超音波施行者の技術によるばらつきがあり、AMHは月経周期を意識せず測定できる利点があります。両者とも環境的・生物学的要因で変動することが分かっています。 

AFC(胞状卵胞数)のメリット・デメリット 

AFCは月経中の2-10mmの胞状卵胞数を超音波検査にて測定するだけですので簡単に実施でき、すぐに結果が得られます(性行経験がない女性では不適切ですが)。卵巣の反応不良を予知するためのカットオフ値は3-10とされています。 
AFCの欠点は、超音波の性能と超音波検査施行者の技術のばらつきです。 
AFCは、クリニック間、クリニック内共にかなりのばらつきが観察されており、AFCとAMHの比較ではAFCの方がばらつきが大きくなっています。このばらつきはトレーニングの違い、方法論、胞状卵胞を見るための超音波の解像度の違いによって引き起こされる可能性があります。またAFCはこれから育つ生存卵胞と既に萎縮している非生存卵胞との区別が難しいとされています。 
少しでもAFC測定の標準化をすることは大事と考えられていて、AFCを測定するタイミング、測定する卵胞の大きさ、超音波検査施行者の技術とトレーニング方法を検討することが大事です。3D超音波診断が標準化に有効という論文もでてきていますが、現在のところ、時期尚早でしょう。 
様々な要因でAFCは変動することが分かっています。 
喫煙はAFCの減少と関連している報告(Iliodromitiら. 2014)もありますし、肥満の女性では周期内および周期間のAFC変動が大きいことが指摘されています(Broekmansら. 2006; Broerら. 2009; La Marcaら. 2010)。 
最近の報告では、ピルの継続使用、特定の環境的要因でのAFCが影響を受ける可能性がありますが、これはAFCに限ったことではなく他の卵巣予備能検査でも同様の可能性があります。 

AMHのメリット・デメリット 

AMHの利点は、月経周期内での変動が最小限であるので月経周期を意識せず採血するだけで測定できることです(最近では月経周期のばらつきも指摘されていますが)。正規分布はしませんが、年齢による基準範囲がわかっていますし、月経発来前の患者や性行経験がない女性に対しても評価できます。またAMHは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断マーカーとしても議論されています。またAFCのように超音波の性能や実施医師のスキルに依存しませんので、他院の結果も客観的データとして評価できる点です。 
デメリットとしてAMH測定がリアルタイムで実施できない施設がまだ多いため、事前に測定しておかないと卵巣刺激開始時に値を知ることができないことです(当院は60分以内に結果を出すことができます)。 
以前は検査測定が不安定であり測定誤差が大きいことがデメリットとして指摘されていましたが、最近では精度感度が改善されてきています。 
AFCと同様に、多くの環境的・生物学的要因でAMH値が変動することが分かっています。例えば、避妊薬の継続的な使用、タバコの服用などが報告されています。 

Fleming Rら. Reprod Biomed Online. 2015. DOI: 10.1016/j.rbmo.2015.06.015. 

生殖医療の必修知識 

特徴 AMH FSH AFC 
卵巣刺激反応不良予測に優れる +++ ++ +++ 
卵巣刺激過剰反応予測に優れる +++ – +++ 
周期間変動が小さい ++ – 
周期内変動が小さい ++ – 
検査施行者の技術に依存しない +++ +++ – 
汎用性がある +++ 
卵巣予備能指標の特徴の比較 

私見

当院では、採血をして60分以内にAMHを測定できるようにしています。もちろん、不妊患者様で至急AMHが知りたい場合などでも対応可能です。AFCは患者様の月経周期間のばらつきを判断するために1年を目安に再測定しています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 胞状卵胞数(AFC)

# 卵巣刺激

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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