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2021.09.04

男性不妊(精索静脈瘤)の管理指針(ASRM committee opinion, Fertil Steril. 2014)

はじめに

挙児希望で来院される場合、夫婦でこられることは一般的になってきました。ただ、まだまだ男性側の積極的な治療介入(特に手術)に抵抗がある男性はすくなくなりません。
できるかぎり、わかりやすく、一般的にお話しする上でASRM committee opinionにそってお話しすることが多いのですのでご紹介させていただきます。

ポイント

精索静脈瘤は男性不妊の重要な原因の一つです。ASRMの専門家委員会が示した治療適応の4つの基準と、手術・人工授精・体外受精のどれを選択すべきかについて解説します。

引用文献

ASRM committee opinion, Fertil Steril. 2014. DOI: 10.1016/j.fertnstert.2014.10.007

論文内容

ASRMの専門家委員会が2014年に精索静脈瘤と不妊について見解を出しています。
精索静脈瘤の治療適応ですが、以下の4つを満たすことが好ましいとされています。

  1. 夫婦が不妊であること
  2. 女性に妊孕能がある、もしくは治療可能な不妊原因があり時間的にゆとりがあること
  3. 精索静脈瘤が容易に触知できること(Grade II以上)
  4. 精液所見に異常があること

精索静脈瘤の手術、人工授精、体外受精/顕微授精(IVF/ICSI)は、ともに精索静脈瘤の治療方針となります。どの治療を選択していくべきかについては、精索静脈瘤以外の不妊原因、そして精液所見によります。手術は精液所見を改善させる方法です。術後の精液所見が改善するまでに3~6ヶ月はかかるため、夫婦の年齢を含めて、時間的ゆとりがあるかどうかが大切になってきます。
精索静脈瘤の手術を選択するメリットは、精液所見が改善することにより体外受精を回避できるのであれば、妊娠までの費用対効果がよくなる可能性もあります。
精索静脈瘤の手術後の改善指標を予測するのはなかなか難しいですが、精索静脈瘤のグレード、術前のFSH値、術前の精液所見などが参考になることもあります。精索静脈瘤は長期的に放置すると精巣機能をより悪化させる可能性もありますので、患者様との長期的な治療プランの話し合いが大事になってきます。
複合的に体外受精/顕微授精(IVF/ICSI)が必要な場合で、精索静脈瘤が見つかっていたケースでは、先に積極的に手術をする必要があるかどうかですが、有益性は乏しいとされています。唯一の例外として非閉塞性無精子症に精索静脈瘤が合併している場合です。この場合は先に精索静脈瘤の手術をすることで射出精液中に精子もみつかることがあるようです。ただし、非閉塞性無精子症の患者様の中にはSertoli cell only syndromeやmaturation arrestのように精子が全く得られないパターンもありますから、医師と相談した上で、TESE(精巣内精子採取術)の前に精索静脈瘤の手術を行うかどうかを決定するのが好ましいと思います。 

私見

当院でも男性不妊外来の受診者のうち約3割前後の方に精索静脈瘤が見つかっています。そのなかで手術を行うかどうかは、やはり上記の指針にそって判断しています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 手術

# 精子DNA損傷検査

# 精液検査

# 精索静脈瘤

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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