はじめに
新鮮胚移植でも凍結融解胚移植でも子宮内膜をモニターされますよね。理由は妊娠成績と関係があるという報告があるからです。移植時内膜と移植をやろうと決めた段階の内膜で評価法は変わりますが、コラムでとりあげています。
移植を決めた時の新鮮胚移植周期、凍結融解胚移植周期の子宮内膜の厚さが出生率と関係するかを示したカナダのビッグデータをまとめた報告をご紹介します。
ポイント
新鮮胚移植では内膜厚10〜12mmでプラトーに達し、凍結融解胚移植では7〜10mmでプラトーに達しました。いずれも6mm未満では生児出生率が劇的に低下します。
引用文献
Neal Mahutte, et al. Fertil Steril. 2022. DOI: 10.1016/j.fertnstert.2021.12.025
論文内容
カナダにおける体外受精の全国データのCanadian Assisted Reproductive Technology Registry Plus(CARTR Plus)データベースから、2013年1月から2019年12月までの記録を対象としたレトロスペクティブコホート研究です。33のクリニックがCARTR Plusに参加しており、43,383件の新鮮胚移植と53,377件の凍結融解胚移植を検討しました。評価項目として臨床妊娠率、流産率、出生率としました。
結果
新鮮胚移植周期では、子宮内膜の厚さは平均採卵数、ピークエストラジオール値、有効胚数、臨床妊娠率、生児出生率、平均単胎児出生体重の有意な増加と正の相関をもち、流産率は負の相関を示しました。生児出生率は10〜12mmでプラトーでした。
凍結融解胚移植周期では、子宮内膜が7〜10mmになると出生率が低下しました。
子宮内膜の厚さの増加に伴う出生率の改善は、患者年齢、胚移植のタイミング(初期胚と胚盤胞)、回収卵子数には関係しませんでした。
出生率は新鮮胚移植周期では子宮内膜厚が10〜12mmになるまで生児出生率が上昇しましたが、凍結融解胚移植周期では7〜10mmでプラトーに達しました。
共に子宮内膜の厚さが6mm未満の場合は、出生率が劇的に低下することが明らかになりました。
条件として内膜厚の測定は新鮮胚移植の場合はトリガー決定日、凍結融解胚移植の場合は黄体補充開始日、LHサージ日、hCG投与日としました。
新鮮胚移植の場合は子宮内膜の厚さが4mmから18mmの間で2mmごとにデータを求めています。凍結融解胚移植の場合は上記に加え、6-8mmの間は1mm間隔で評価しています。これは過去の論文で凍結融解胚移植の場合、7.0-7.9mmは8mm以上と成績に差がない報告があるからです(Liu KE, et al. Hum Reprod 2018)。
私見
子宮内膜は薄すぎるのは胚移植にとってはよくなさそうですね。
内膜の厚さが14mmを超えると妊娠成績が悪いという論文は過去にありますが、否定的な意見が多いです。(厚いとダメ派:Weissman A, et al. Fertil Steril 1999、厚すぎは問題ない派:Dietterich C, et al. Fertil Steril 2002、Zhang X, et al. Fertil Steril 2005、Fang R, et al. Gynecol Endocrinol 2016)
文責:川井清考(WFC group CEO)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。