一般不妊

2022.03.14

AMHとAFCの相関について(J Assist Reprod Genet. 2022)

はじめに

AMHとAFCは共に卵巣予備能を示す有効なマーカーです。年齢とともに減少することがわかっています。AMHとAFCにはどのような特徴があるのでしょうか。示した論文をご紹介いたします。 

ポイント

AMHとAFCの分布は対数分布で値のばらつきが大きく、AMHが年齢による減少が早いため両者の相関が年齢によって変化します。ボローニャ基準のカットオフ値の一致率は低く、AMHの再現性はAFCより優れていました。

引用文献

Philippe Arvis, et al. J Assist Reprod Genet. 2022. DOI: 10.1007/s10815-022-02449-5 

論文内容

2005年から2016年までの間に12生殖医療センターにおいて、15,219名25,854回の体外受精周期をおこなった女性(年齢34.77±4.55歳、BMI 21.92±7.19)を対象としました。AMHとAFCの統計的分布はKolmogorov-Smirnov検定とShapiro goodness of fit検定を用いて検討しました。 

結果

AMHとAFCの分布は、値のばらつきが大きく、AFCの方が2倍重要で、対数分布であることが特徴でした。AMHがAFCよりも年齢による減少が早いことから、両者の相関が年齢によって変化することが示唆されました。AMHとAFCは、ボローニャ基準で示されるAMH 1.1ng/mlのカットオフとAFC 7個のカットオフの一致率は低いことがわかりました(表1)。AMHとAFCの施設間の異質性は小さいが、各施設内の患者間の異質性は非常に大きくなりました。複数回の体外受精周期を繰り返した女性に関しては、AMHの再現性はAFCよりはるかに優れていました。 

  AMH<0.5 0.5<AMH<1.1 AMH>1.1 
全体数 一致率 全体数 一致率 全体数 一致率 
AFC < 5 346 29.90% 470 14.20% 867 4.10% 
5 < AFC < 7 317 27.40% 707 21.40% 1421 6.60% 
AFC > 7 493 42.60% 2132 64.40% 19,095 89.30% 

私見

血清AMH値は1年に5%、AFCは1年に4.0%減少しました。 
先行論文も同じような記載に留まっています。 

  • AMHが25歳以前にピークに達し、36歳までに半減し、40歳までにピークの1/4になる。 
    K, et al. Aust N Z J Obstet Gynaecol. 2015 
  • 年齢とともにAMHがAFCよりもわずかに速く減少する。 
  • AMHは5.6%/年、AFCは4.4%/年 
    (30歳でAMH -0.57、AFC-1.09、40歳でAMH-1.33、AFC-3.06) 
    Bentzen JG, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2013 
  • 40歳以上ではAMHは平均5%/年の減少に対して、AFCは4.1%/年の減少 
    Du X, et al. Reprod Sci. 2016 

これらの記載をみるとAMHが低くAFCが多めの女性で体外受精希望の場合は早めの介入が好ましいのかもしれませんね。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 総説、RCT、メタアナリシス

# 胞状卵胞数(AFC)

# 年齢素因

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

この記事をシェアする

あわせて読みたい記事

慢性子宮内膜炎の分子診断:RT-PCRによる病原体検出の有用性(AJOG Glob Rep. 2024)

2026.04.11

「精液が正常」でも安心できない?―不妊男性に必要な男性生殖医学的評価― (Andrology, 2026)

2026.03.07

正常月経周期における黄体機能不全の予測因子(Front Public Health. 2018)

2026.02.11

甲状腺機能異常妊婦におけるレボチロキシン補充療法と妊娠転帰:アンブレラレビュー(Human Reproduction Open. 2025)

2025.10.22

不妊治療前の甲状腺検査意義は?(Hum Reprod. 2025)

2025.08.12

一般不妊の人気記事

妊活中の子宮内膜症進行リスク(Hum Reprod. 2025)

子宮卵管造影後どういうカップルが妊娠しやすい?(論文紹介)

妊娠できるカップルはほぼ6ヶ月以内に妊娠する。(論文紹介)

PCOS診断基準(2024)の内分泌異常基準値(J Obstet Gynaecol Res. 2023)

シリンジ法の有用性について(Reprod Med Biol. 2021)

今月の人気記事

胎児心拍が確認できてからの流産率は? 

2021.09.13

2023年ARTデータブックまとめ(日本産科婦人科学会)

2025.09.01

2024.03.14

禁欲期間が長いと妊活にはよくないです

2024.03.14

2020.10.26

夫婦の体重(BMI)は妊娠しやすさ(不妊)に影響する?(Fertil Steril. 2020)

2020.10.26

我が国の統計からの興味深い情報のご紹介~男性は何歳まで子供を作ることができるのか~

2023.06.03

非前置胎盤性癒着胎盤のリスク因子(Reprod Med Biol. 2024)

2024.07.29