体外受精

2022.11.28

卵巣刺激(FSH vs. FSH+LH)の効果は一緒なの?(Hum Reprod. 2022)

はじめに

調節卵巣刺激を行う際の注射製剤の選び方は、rFSH製剤であってもHMG製剤であっても効果が変わらないというのが一般的な見解です。 
調節卵巣刺激(卵巣刺激)の注射製剤の選び方 (ESHRE guideline 2025年版アップデート) 
卵巣予備能にフォーカスしin vitroでFSH製剤とFSH+LH製剤で顆粒膜細胞のステロイド産生シグナルを調べた報告です。 

ポイント

In vitroではありますが、LHは細胞内ステロイド生成経路を活性化するFSHの効力を高め、全群でcAMPとプロゲステロンのレベルを全体的に増加させました。ゴナドトロピンの相乗的、非相加的作用が、反応性の低い顆粒膜細胞で起こる弱いステロイド生成シグナルを増強する可能性が示唆されました。 

引用文献

Samantha Sperduti, et al. Hum Reprod. 2022 Nov 11;deac246. doi: 10.1093/humrep/deac246. 

論文内容

In vitroでFSHにLHを添加すると、hGLCの反応が変化するかを調査した報告です。2017年10月から2021年2月まで、体外受精のために採卵術を実施した286人の匿名女性からhGLCサンプルを採取しました。
hGLCは、盲検的に精製、培養、遺伝子型分類され、高濃度のFSH(nM)±0.5nM LHによってin vitroで処理され、それぞれ3時間および24時間後に生成されるcAMPおよびプロゲステロンレベルが測定されました。In vitro データは、ドナーの卵巣反応に応じて、normal responder(10個以上の回収卵)、sub responder(4-9個の回収卵)、poor responder(3個以下の回収卵)に事後に層別され、統計的に比較されました。FSHにLHを加えた場合の効果も、同様に全グループでFSH単独で得られた効果と比較されました。 

結果 

normal responderのhGLCは、in vitroではsub / poor responderよりもFSH処理に対して高い感受性を持つことがわかりました。同じFSH濃度下では高いcAMP(約2.5〜4.2倍)およびプロゲステロンレベル(1.2〜2.1倍)を誘導しました(ANOVA;P < 0.05)。細胞処理にLHを加えることで、cAMPとプロゲステロンレベルで示されるFSHの効能全体が、すべてのグループ内で有意に増加しました。FSH単独で処理したnormal responderのin vitroエンドポイントは、FSH+LH処理下のsub / poor responderのin vitroエンドポイントと同様でした。異なったアレル頻度およびFSHR遺伝子発現レベルに群間差は見られませんでした。FSHにLHを添加するとnormal responderとsub / poor responderの間のcAMPとステロイド産生パターンのギャップを埋める可能性が示唆されました。 

私見

この報告のlimitationでも書かれていますが、in vitroであること、卵巣刺激後に採取した顆粒膜ルテイン細胞であり増殖期の顆粒膜細胞ではないこと、が卵巣刺激のFSH製剤単独もしくはFSH+LH製剤との反応差につながるかどうかはわかっていません。ただし、臨床を行なっているとFSH製剤単独だと反応が乏しくhMG製剤で改善される方がいらっしゃるのも経験しますので、大多数の人はFSH単独での卵巣刺激でもいいのですが、症例に応じてhMG製剤を使用した方がよい根拠のひとつなのかなと感じています。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# ゴナドトロピン

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# 基礎研究

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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