体外受精

2026.03.10

プロバイオティクス・微量栄養素サプリメントと採卵成績の関連(J Assist Reprod Genet. 2025)

はじめに

卵巣刺激前のプレトリートメントの有効性については議論が続いています。Normal responderと予測される卵子ドナーにおいて、プロバイオティクスと微量栄養素を組み合わせたサプリメントが卵巣刺激および卵子採取成績を改善するかを評価した、初めての多施設前向き二重盲検ランダム化比較試験(Ovovid trial)です。

ポイント

プロバイオティクスと微量栄養素サプリメントの投与により、Normal responderの卵子ドナーにおいて卵胞発育と回収卵子数が改善しました。

引用文献

Silvia Bontá, et al. J Assist Reprod Genet. 2025. doi: 10.1007/s10815-025-03763-4.

論文内容

Normal responderと予測される卵子ドナーにおいて、プロバイオティクスと微量栄養素を組み合わせたサプリメントが卵巣刺激および卵子採取成績を改善するかを評価しました。
スペインの3つの生殖医療施設(NextFertilityグループ)において、2022年7月から2024年7月の間に多施設前向きランダム化二重盲検対照臨床試験が実施されました。対象は、AFC15個以上の正常卵巣予備能を有する18~34歳の卵子ドナー196名(研究群98名、対照群98名)でした。参加者は、調節卵巣刺激開始の少なくとも30日前から「トリガー」投与日まで、研究用サプリメントまたはプラセボを投与されました。研究群のサプリメントには、ミオイノシトール(1 g)、D-キロイノシトール(25 mg)、コエンザイムQ10(100 mg)、メラトニン(1.9 mg)、ビタミンD3(25 μg)、メチル化葉酸(400 μg)、ビタミンB12(2.5 μg)、ビタミンB6(1.4 mg)、ビタミンE(12 mg)、鉄(28 mg)、ヨウ素(200 μg)、亜鉛(15 mg)、プロバイオティクスであるLactobacillus gasseri(2×10⁹ CFU)およびLactobacillus crispatus(1×10⁹ CFU)が含まれていました。卵巣刺激はMPA 10mgとrFSH 225 IUでのPPOS法としました。
卵子の質がよいというのは細胞質内異常(封入体、屈折体、空胞、滑面小胞体の凝集、高密度顆粒化)や細胞質外異常(第一極体の形態異常、囲卵腔のサイズや顆粒状の異常、透明帯の欠損、形態異常)がともにない卵子をさしているようです。

結果

intention-to-treat解析では、研究群でAFC(28.01±10.4 vs. 24.7±7.1; p=0.0314)および16 mm以上の卵胞数(19.3±8.6 vs. 15.8±6.1; p=0.0065)が対照群と比較して有意に増加しました。MIIら卵子の質に関しては、良質卵子数は両群間で差がありませんでした(17.0±7.7(84.1%) vs. 15.4±8.2(81.4%); p=0.2187)。
Per-protocol解析(n=79)では、研究群で回収卵子数(27.7±10.4 vs. 21.2±7.9; p=0.0045)、MII数(22.5±8.89 vs. 17.3±7.25; p=0.0092)、良質MII卵子数(18.97±7.7 vs. 13.42±6.5; p=0.0019)が高い結果となりました。
重篤な有害事象は記録されませんでした。生化学項目に有意な変化は認められず、空腹時血糖値のみが両群でわずかに上昇しましたが、正常範囲内でした。

私見

体外受精治療を受ける女性において標準化されたマルチビタミンサプリメントが胚質を改善したとする研究や総説はありますが、どうしてもコマーシャルベースになっているのではないかと思ってしまい、なんともいえないのが実情です(Gopinath M, et al. Med J Malaysia, 2024、Alrashidi AS, et al. Cureus, 2024)。
質が高い研究としてNiPPeR studyがありますが、こちらはミオイノシトール、プロバイオティクス、微量栄養素配合が自然妊娠までの時間に正の影響を与えることを示しました(ミオイノシトール、プロバイオティクス、微量栄養素は妊活に有効?(Fertil Steril. 2023))。
プロバイオティクスは、実際卵子にはどの程度有効なんでしょうね。内膜側への影響はあってもおかしくないですが。。。Nipeer studyのマルチビタミンの中にはLactobacillus rhamnosus + Bifidobacterium animalis subsp. lactis の2菌株併用、今回取り上げたOvovid trialだとLactobacillus gasseri+Lactobacillus crispatus の2菌株併用となっています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

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# 卵巣刺激

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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