治療予後・その他

2023.02.16

LGA(Large for Gestational Age)児のリスク因子( F S Rep. 2022)

はじめに

凍結融解胚移植ではLGA児発症率が上昇すると言われています。アメリカでの凍結融解胚移植での推移、LGA児発症率を検証した報告をご紹介いたします。

ポイント

凍結融解胚移植では人種・民族によってLGA児リスクが異なりました。そのほか、高BMI、経産経験がLGA発症リスクと繋がりました。培養環境の変化で徐々に胚移植でのLGA発症リスクが軽減する方向になっているようです。

引用文献

Anne J Roshong, et al. F S Rep. 2022 Sep 9;3(4):332-341. doi: 10.1016/j.xfre.2022.09.002.

論文内容

米国疾病対策予防センターのNASSからART集積データ(不妊クリニックの98%が登録)の凍結融解胚移植を対象としたレトロスペクティブ・コホート研究で主要評価項目は単胎LGA児としました。

結果

2004~2018年に、凍結融解胚移植の割合は20%から74%に増加しましたが凍結融解胚移植の単胎出生児のLGAの割合は18%から12%に減少しました。2016~2018年の凍結融解胚移植関連単胎生産127,525件のサブ解析では、LGAと関連する患者因子は、高BMI(BMI 25.0~29.9;aRR 1.31;95% CI 1.26-1.36;BMI 30.0-34.9;aRR 1.48;95% CI, 1.41-1.55;BMI >35 ;aRR 1.68;95% CI 1.59-1.77)および経産経験でした。低BMI(<18.5 vs. 18.5-24.9)、非ヒスパニックであるアジア名/ネイティブハワイ名/太平洋諸島民、非ヒスパニックである黒名、ヒスパニックは白名に比べてLGA児リスクが低くなりました。

私見

この報告では他にも興味深いデータがでてきています。
新鮮胚移植後のLGA単胎率もこの期間に11%から9%に減少しています。
胚盤胞期でのガラス化(2011年)、ベンチトップインキュベーターの使用(2012年)、シングルステップ胚培養液(2013年)など体外受精の胚培養環境が変わった各地点でLGA児率は減少しています。今後、環境がますます改善することによりLGA児はより減るかもしれません。
また、凍結融解胚移植後の男児ではLGA児リスクがわずかに増加しました(aRR、1.04;95%CI、1.02-1.07)。過去の報告でも、体外受精や自然妊娠にかかわらず男児が女児よりLGA児になりやすいという報告と一致しています。(Norris T., et al.Arch Dis Child Fetal Neonatal. 2018, Alberico S.,et al. BMC Pregnancy Childbirth. 2014; 14: 23)

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 培養液

# 体重、BMI

# 新鮮胚移植

# 凍結融解胚移植

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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