体外受精

2021.12.08

卵巣刺激抵抗性の患者がIVMで出産報告(J Assist Reprod Genet. 2021)

はじめに

原発性もしくは続発性無月経の患者様の中で、かなり稀ですが、卵巣予備能が保たれているのに卵巣刺激をしても育ってこない女性がいます。Gonadotropin-resistant ovary syndrome (GROS)と呼ばれています。
GROSの主な特徴は、高ゴナドトロピン血症、正常な数の胞状卵胞数、そして外因性ゴナドトロピン刺激に反応しないことです。GROSの病因は自己免疫疾患、遺伝的素因などが言われていますが、現在のところ不明です。排卵しないと妊娠することができないわけですが、体外培養を行うことで出産に至った二例を報告しています。

ポイント

卵巣刺激に反応しないGROS症例に対し、IVM(未成熟卵体外培養)を用いることで出産に至った症例報告です。大量のFSH投与後にhCGを使用してIVM採卵を実施し、2例とも出産にいたっています。

引用文献

Ho Long Le, et al. J Assist Reprod Genet. 2021. DOI: 10.1007/s10815-021-02355-2

論文内容

二例ともFSH 300単位4日投与の後、FSH 600単位3日投与しても卵胞発育がない症例なので、少しFSH投与して反応が乏しいpoor responderとは少し異なる無月経症例です。
27歳女性であり、1例目はFSH 46 IU/mL、LH 48 IU/mL、AMH 2.22 ng/ml、AFC 14、2例目はFSH 92 IU/mL、LH 35 IU/mL、AMH 5.53 ng/ml、AFC PCOS様でした。これらの症例にFSH3000単位投与後hCG10000単位使用しIVM採卵を実施しました。1例目は回収卵7個、受精胚2個、初期有効胚1個、2例目は回収卵13個、受精胚5個、初期有効胚5個であり、共に出生に至っています。

私見

「GROSかも?」と思う症例は私が千葉で生殖医療に関わってから3例ほどしか経験しておらず、非常に稀な疾患だと思います。しかし、このような出産に至った前例ができたことは患者様に提示する選択肢が増えるため嬉しいことですね。ホーチミンはIVMの第一人者がいる国で、プロトコールも確立しているはずなので、いつかは見学に訪れてみたいと思います。
2022年4月以降の体外受精保険適応にもIVMはPCOS患者の選択肢に含まれており、適切な症例を選ぶことにより有効な手段として活用できると考えています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 卵巣刺激

# IVM

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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