一般不妊

2022.07.04

子宮内膜ポリープの数により慢性子宮内膜炎の有病率は変わる?(J Obstet Gynaecol Res. 2021)

はじめに

慢性子宮内膜炎は子宮内膜の持続的な慢性炎症であり、特異的な臨床症状がないため、患者や婦人科医にも見過ごされやすい病態です。しかし、着床に影響を与えるといった報告が数多くみられるようになり、現在では不妊患者においては治療が必要と考えられています。今回は子宮内膜ポリープが単一か複数(6個以上)かにより子宮内膜炎の併発率が変わるかどうか調査した報告をご紹介いたします。 

ポイント

女性年齢、BMI、不妊原因、妊娠歴、異常性器出血、子宮内膜症、子宮筋腫の有無とは無関係に、多発子宮内膜ポリープ(6個以上)と慢性子宮内膜炎は関連があることがわかりました。 

引用文献

Luyan Guo, et al. J Obstet Gynaecol Res. 2021. DOI: 10.1111/jog.14541 

論文内容

2017年6月から2018年12月まで、277名の患者を対象とし、子宮鏡検査後に92名が多発ポリープ、82名が単一ポリープ、103名がポリープのない状態でポリープ切除もしくは内膜組織診を実施しました。慢性子宮内膜炎の診断はCD138免疫組織化学検査により形質細胞を同定し、CD138陽性形質細胞が5個以上/HPFとしました。慢性子宮内膜炎の有病率を比較し、ロジスティック回帰モデルを用いて解析しました。 

結果

異常子宮出血の有病率が多発/単一ポリープ群で非ポリープ群よりはるかに高かったことを除き、すべての患者背景は同等でした。慢性子宮内膜炎の有病率は、単一ポリープ群に比べ多発ポリープ群で有意に高くなりました(58.7% vs. 28.0%、P < 0.001)。単一ポリープ群と非ポリープ群の間では、慢性子宮内膜炎の有病率に差はありませんでした(28.0% vs. 29.1%、P = 0.872)。多変量解析により、異常子宮出血(調整後OR 2.81, 95% CI 1.35-5.87)および多発ポリープ群(調整後OR 2.58, 95% CI 1.38-4.82)は慢性子宮内膜炎と独立して関連していましたが、単一ポリープ群は非ポリープ群と比較して慢性子宮内膜炎の有病率を高めませんでした(調整後OR 0.74, 95% CI 0.38-1.45)。 

私見

以前コラムで子宮内膜ポリープと慢性子宮内膜炎は取りあげましたので、こちらも参考になさってください(慢性子宮内膜炎と子宮内膜ポリープ(Diagnostics (Basel). 2021) )。
今回の症例は過去3ヶ月以内のホルモンまたは抗生剤治療歴、反復着床不全、不育症、子宮腔内癒着、粘膜下子宮筋腫、過去の慢性子宮内膜炎患者を除外しています。多発子宮内膜ポリープ(6個以上)と慢性子宮内膜炎の関連は間違いなさそうですね。 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 子宮鏡

# 子宮内膜ポリープ

# 慢性子宮内膜炎

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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