体外受精

2023.10.17

小卵胞由来胚盤胞の生殖医療成績(Fertil Steril. 2019)

はじめに

偶発的に小卵胞からしか卵子がとれず、その卵子が胚盤胞に到達した場合、成績の低下や胎児への影響が気になることは少なくありません。自然周期で採取した通常卵胞(11mm以上)と小卵胞(10mm以下)由来の胚盤胞移植と生殖医療成績・周産期経過・新生児合併症を検証した報告をご紹介いたします。

ポイント

10mm以下の卵胞から回収した卵子由来の胚盤胞移植は従来の胚盤胞移植と生殖医療成績・周産期経過・新生児合併症などに差がありませんでした。小卵胞由来の胚盤胞移植は有効でありそうです。

引用文献

Shokichi Teramoto, et al. Fertil Steril. 2019 Apr;111(4):747-752. doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.11.038.

論文内容

2012年1月から2014年12月に胚盤胞移植を実施した30~40歳の患者1,072名1,247周期を対象としたレトロスペクティブ・コホート研究です。
通常卵胞(11mm以上)と小卵胞(10mm以下)の両方から自然周期で採取した卵子を、IVMを含めて、媒精または顕微授精で受精し胚盤胞培養・凍結し、別周期に単一胚移植を実施しました。評価項目は、胚盤胞移植による出生率および先天異常の発生率としました。

結果

小卵胞(10mm以下)由来の胚盤胞移植597周期では、55例の生化学妊娠(9.2%)、73例の流産(12.2%)、261例の生児出生(43.8%)であり、通常卵胞(11mm以上)由来の胚盤胞移植650周期では、71例の生化学妊娠(10.9%)、73例の流産(11.2%)、311例の生児出生(47.9%)でした。通常卵胞(11mm以上)と小卵胞(10mm以下)の胚盤胞移植生殖医療結果には差を認めませんでした。
流産検体の異数性率も、小卵胞(10mm以下)由来と通常卵胞(11mm以上)由来の流産ともに差はありませんでした(71%[39/55] vs. 72%[40/55])。
新生児における先天異常の発生率は、小卵胞(10mm以下)由来と通常卵胞(11mm以上)由来の新生児間で差がありませんでした(それぞれ1.5%と1.3%; RR 1.10、95% CI 0.55-3.21)。

私見

自然周期と調節卵巣刺激後の小卵胞では意味合いが異なってくると思います。ここでいう自然周期採卵は主席卵胞の直径16mm以上になり血清E2値200pg/mLを超えた時点で、ブセレリン経鼻投与(300μg)での排卵誘発とし34-36時間後に採卵を行った方法を指しています。

自然周期での小卵胞採卵は生殖医療成績を改善する(Fertil Steril. 2016) 

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# IVM

# 胚盤胞

# 卵巣刺激

# 出生児予後

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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