体外受精

2023.08.17

PPOSプロトコルの胚質はアンタゴニストプロトコルより劣る?(Reprod Biol Endocrinol. 2023)

はじめに

PPOSプロトコルは様々な生殖医療施設で一般的に行われるようになってきました。PPOSプロトコルの胚質はアンタゴニストプロトコルと変わらないという報告を以前コラムでも紹介いたしました。(PPOSの胚質はアンタゴニスト法と変わらない(Hum Reprod. 2020)

最近PPOSプロトコルにネガティブな報告が出てきていますので、ご紹介させていただきます。

ポイント

PPOSプロトコルの胚質はGnRHアンタゴニストプロトコルに比べて、胚盤胞到達率と正常核型胚率は同等もしくは軽度低下する可能性があります。

引用文献

Angel Hsin-Yu Pai, et al. Reprod Biol Endocrinol. 2023 Aug 8;21(1):72. doi: 10.1186/s12958-023-01124-3.

論文内容

2018年1月から2021年12月に単一生殖医療センターで実施されたPGT-A 128周期(27~45歳)の生殖医療成績をPPOSプロトコルとGnRHアンタゴニストプロトコルで比較検討しました。

結果

PPOS群は、GnRHアンタゴニスト群と比べて、胚盤胞到達率および正常核型胚率が低下しました。女性年齢を高齢者群(38歳以上)と若年者群(38歳未満)に層別化し、サブグループ解析を行いました。高齢者群では、PPOS群はGnRHアンタゴニスト群より胚盤胞到達率(45.8±6.1% vs. 59.9±3.8%、p = 0.036)、正常核型胚率(5.4% vs. 26.7%、p = 0.006)が低くなりました。若年者群では、胚盤胞到達率(63.5±5.7% vs. 67.1±3.2%、p = 0.45)、正常核型胚率(30.1% vs. 38.5%、p = 0.221)ともに有意差を認めませんでした。正常核型胚移植後の着床率、生化学的妊娠率、臨床的妊娠率、出生率、流産率などは両群間で差を認めませんでした。

私見

PPOSプロトコルを選択すると、一般集団女性とポセイドングループ1女性で生児獲得までの期間が延長すると報告されています(Chen H, et al. Fertil Steril. 2022;118:701–12、Du M, et al. Front Endocrinol. 2021;12: 705264)。
PPOSプロトコルは全胚凍結しか選択できないプロトコルですし、プロゲスチンが作用しすぎると刺激日数が増加することも懸念されます。
迷った場合には、GnRHアンタゴニスト法でよいのかもしれません。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 卵巣刺激

# 年齢素因

# GnRHアンタゴニスト

# PP(PPOS)

# 着床前遺伝学的検査(PGT)

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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