体外受精

2023.11.30

アンドロゲン補充はPOR/DOR患者に有効?(Am J Obstet Gynecol. 2022)

はじめに

卵巣予備能低下(DOR)/卵巣反応不良(POR)女性において、卵巣反応を改善して妊娠成績を上げることは難しい課題のひとつであり、さまざまなアドオン治療が提案されています。
卵巣予備能低下(DOR)/卵巣反応不良(POR)女性における卵巣反応および妊娠転帰に対する、プラセボ/無治療と比較したアンドロゲン(DHEA/テストステロン)の影響に関するシステマティックレビューおよびメタアナリシスをご紹介します。

ポイント

DHEAは生殖医療成績に明確な改善を認めませんでしたが、テストステロン前処置が卵巣反応と妊娠成績に有益な効果をもたらす可能性が考えられました。

引用文献

Ana Raquel Neves, et al. Am J Obstet Gynecol. 2022 Sep;227(3):401-413.e18. doi: 10.1016/j.ajog.2022.03.051.

論文内容

MEDLINE、Embase、Cochrane Library、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Scopus、ClinicalTrials.gov、ISRCTNレジストリ、世界保健機関(WHO)国際臨床試験レジストリの電子検索を行い、2021年9月までに発表された研究を対象としました。卵巣予備能低下(DOR)/卵巣反応不良(POR)女性における卵巣反応および妊娠転帰に対する、プラセボ/無治療と比較したアンドロゲン(DHEA/テストステロン)の影響に関するRCTを対象としています。

結果

DHEA使用の場合、プラセボ/無治療と比較して成績に差はありませんでした。

  • 回収卵子数(MD 0.76;95%CI -0.35~1.88)
  • 回収成熟卵子数(MD 0.25;95%CI -0.27~0.76)
  • 臨床妊娠率(RR 1.17;95%CI 0.87-1.57)
  • 出生率(RR 0.97;95%CI 0.47-2.01)
  • 流産率(RR 0.80;95%CI 0.29-2.22)

テストステロン前処置の場合、プラセボ/無治療と比較して下記項目で成績改善を認めました。

  • 回収卵子数(MD 0.94;95%CI 0.46-1.42)
  • 臨床妊娠率(RR 2.07;95%CI 1.33-3.20)
  • 出生率(RR 2.09;95%CI 1.11-3.95)

私見

ヒトでの研究では下記のような報告が認められています。
女性では、アンドロゲンレセプターは女性の視床下部-下垂体-性腺軸のすべてのレベルで発現しています。卵巣内では卵子、顆粒膜細胞、莢膜細胞、および卵巣間質で発現しており、発育段階によって発現パターンは異なりますが、卵胞発育のほとんどの段階で関わっていると考えられます。
原始卵胞(primordial follicle)ではアンドロゲンレセプターは同定されていませんが、一次卵胞(primary follicle)以降は関連するとされています。前胞状卵胞(preantral follicle)ではアンドロゲンレセプター発現がFSHR発現よりも高いという知見もあり、初期卵胞形成におけるアンドロゲンの役割を示唆しています。同時に、小胞状卵胞からの解析で(1)顆粒膜細胞のFSHR遺伝子発現とアンドロゲンレセプター発現、(2)FSHR遺伝子発現と卵胞内アンドロゲン(A4およびT)濃度に正の相関関係を認めており、アンドロゲンが発育卵胞のゴナドトロピン応答性の促進に関与している可能性を示唆しています。

文責:川井清考(WFC group CEO)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのコラムです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。当コラム内のテキスト、画像、グラフなどの無断転載・無断使用はご遠慮ください。

# 早発卵巣不全

# 卵巣刺激

# 卵巣予備能、AMH

WFC group CEO

川井 清考

WFCグループCEO・亀田IVFクリニック幕張院長。生殖医療専門医・不育症認定医。2019年より妊活コラムを通じ、最新の知見とエビデンスに基づく情報を多角的に発信している。

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